■走行性能&乗り心地比較
エンジンはルーミーが直列3気筒1Lのノーマルタイプとターボだ。ソリオは直列4気筒1.2Lで、最も価格の安いGを除くとマイルドハイブリッドを搭載する。
ルーミーのノーマルエンジンは、最高出力が69馬力(6000回転)、最大トルクは9.4kg-m(4000回転)で、2WDの車両重量は標準ボディが1080kgだ。排気量が1Lだから動力性能が不足気味で、登坂路ではエンジン負荷が増えてノイズも高まる。
ソリオはマイルドハイブリッド、ノーマルエンジンともに、最高出力が91馬力(6000回転)、最大トルクは12kg-m(4400回転)になる。1.2Lだから動力性能に少し余裕があり、車両重量はマイルドハイブリッドMXが1000kgと軽い。従ってソリオは動力性能が勝りノイズも小さい。
ルーミーのターボは、動力性能が1.4Lのノーマルエンジン並みに高まるが、実用回転域のノイズが耳障りに感じる。
走行安定性もソリオが優れている。操舵に対する反応の仕方は鈍めだが、後輪の接地性が高く安心感も高い。ルーミーは危険を避けるような操作をした時に、やや挙動を乱しやすい。乗り心地は両車ともに硬めで、ルーミーは上下に揺すられる感覚が強い。
*勝敗:ソリオの勝ち
■安全装備やグレード構成は?
次に安全装備やグレード構成について比較してみよう。
●安全装備&運転支援機能比較
衝突被害軽減ブレーキは、両車ともに夜間の歩行者も検知する。右左折時や自転車については対象に入らない。運転支援機能では、全車速追従機能付きのクルーズコントロールが採用される。ただしルーミーの場合、運転支援機能はカスタムのみの設定だ。
*勝敗:引き分け
●グレード構成と価格の割安度比較
ルーミーの買い得グレードは、標準ボディのG(174万3500円)。ソリオではハイブリッドMX(185万200円)になる。
ルーミーGにはLEDヘッドランプが装着され、スライドドアの電動機能は両側に備わる。ソリオハイブリッドMXはヘッドランプがハロゲンでスライドドアの電動機能も左側のみだが、サイド&カーテンエアバッグ、運転支援機能、アルミホイールを標準装着した。
そしてソリオにはマイルドハイブリッド機能が装着されるので、WLTCモード燃費は19.6km/Lだ。ルーミーのノーマルエンジン搭載車の18.4km/Lよりも優れている。エンジン排気量も1.2Lだから、ノーマルエンジン同士の比較なら前述の通り動力性能も上まわる。機能や装備と価格のバランスでは、ソリオが少し割安だ。
*勝敗:ソリオの勝ち
■ルーミーvsソリオの総合評価は!?
ルーミーは好調に売れているが、ソリオと比較すると、後席の座り心地、ノーマルエンジンの動力性能、走行安定性、乗り心地で見劣りする。
その理由は、ルーミーの開発期間が短かったからだ。2014年には先代ハスラーのヒットでスズキとダイハツの軽自動車販売合戦が過剰に盛り上がり、在庫車を届け出して中古車市場に放出する販売台数の粉飾も活発に行われた。
この影響で、2014年には国内で新車として売られた車両の41%を軽自動車が占めた(2020年は37%)。
軽自動車がここまで売れると、小型車からの乗り替えも増える。基本的に小型/普通車を扱うトヨタとしては、対抗策を迫られ、子会社のダイハツがルーミーとその姉妹車を約2年間で開発して2016年に発売した。
そのためにDNGAの新しいプラットフォームは使えず、エンジンも含めて、パッソ&ブーンのユニットを利用した。ルーミーは車両重量が170kgほど重いので、前述の通り走行性能では不利になっている。
それでも荷室の機能には工夫を凝らし、小回りの利きも良い。荷室に関してはソリオを上まわる機能も多い。実用性の優れた背の高いコンパクトカーが欲しい時は、この2車種を乗り比べて、判断されると良いでしょう。
*勝敗:ソリオの勝ち
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