小型/普通車の新車販売1位はヤリスといわれるが、この台数にはSUVのヤリスクロスやスポーツモデルのGRヤリスも含まれる。そこでコンパクトカーのヤリスだけを算出すると、2021年1~3月の1か月平均は1万820台であった。
一方、ルーミーは、同じ期間に1か月平均で1万3132台を登録した。ヤリスの1万820台を上まわる。従って小型/普通車の実質的な販売1位はルーミーだ。2020年にトヨタの販売体制が変わり、全店で全車を買えるようになり、姉妹車のタンクを廃止した。その結果、ルーミーの売れ行きが増えた事情もある。
ルーミーは全長が3700mm(カスタムは3705mm)のコンパクトカーだが、全高は1700mmと高く、後席側のドアはスライド式だ。そこでルーミーの実力や買い得感を探るため、ライバル車のソリオと比べてみたい。
文/渡辺陽一郎、写真/ベストカー編集部
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■内装の質感やシートアレンジを徹底比較
まずはルーミーとソリオの転のしやすさ、内装の質感とシートアレンジを比較してみよう。
●ボディスタイル/視界/運転のしやすさ比較
ルーミーのボディサイズは、全長が3700mmで全幅は1670mm、全高は1735mmと高い。ソリオも3790mm・1645mm・1745mmになる。ほぼ同じ大きさだが、ソリオは全長が少し長く全幅は狭い。
最小回転半径は大半のグレードでルーミーが4.6m、ソリオは4.8mになる。外観は両車ともに水平基調で、視界は前後左右ともに良好だ。両車とも運転しやすい。ソリオは全幅を抑えたメリットもあるが、運転のしやすさを比べると、小回りの利きが優れたルーミーが勝る。
*勝敗:ルーミーの勝ち
●内装の質感/操作性/前後席の居住性比較
インパネなど内装の質感は両車ともに互角だ。メーターはソリオがインパネ中央の高い位置に装着して上下方向の視線移動を抑えたが、ルーミーの一般的な配置が見やすく感じるユーザーも多い。一長一短になる。
居住性は前席については同等だ。サイズに余裕があり、座り心地も満足できる。
後席は両車ともに頭上と足元の空間が広い。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は、ルーミーが握りコブシ4つ分、ソリオも3つ半になる。Lサイズセダンでも2つ半程度だから、両車の後席は、頭上の空間も含めてかなり余裕がある。
座り心地はソリオが快適だ。ルーミーは床と座面の間隔が不足して、足を前方へ投げ出す座り方になる。背もたれや座面の柔軟性も足りない。ソリオも後席は特に快適とはいえないが、ルーミーに比べると優れている。
*勝敗:ソリオの勝ち
●荷室&シートアレンジ比較
両車ともに後席には前後スライド機能を装着した。広い足元空間を生かしてスライド位置を前側に寄せると、4名で乗車して、なおかつ車内の最後部にある荷室を拡大できる。
後席にチャイルドシートを装着した時は、前側にスライドさせると便利だ。運転席に座る親との間隔が縮まり、信号待ちの時などに子供のケアをしやすい。荷室も広がるから、ベビーカーや子供用の自転車も積める。
後席の畳み方は一長一短だ。ルーミーは背もたれを前側に倒し、さらに床面へ落とし込むように格納する。2段階だから手間を要するが、床の低い平らな荷室に変更できる。
ソリオの後席は背もたれを前側に倒すと、座面も連動して下がる。操作は簡単だが、広がった荷室の床に少し傾斜ができる。つまり広さと積載性ならルーミー、使い勝手ではソリオになる。
荷室の使い勝手では、床の高さも大切だ。床が低ければ、自転車を積む時に、前輪を大きく持ち上げる必要はない。リヤゲートを開いた部分の荷室床面地上高は、ルーミーが527mm、ソリオは665mmだから、重い大きな荷物などはルーミーが積みやすい。
またルーミーでは、荷室床面のボードを反転させると、汚れを落としやすい素材が貼られている。自転車など屋外で使う用品を積んだ後の清掃もしやすい。このように荷室の機能はルーミーが充実している。
*勝敗:ルーミーの勝ち
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