■年始のスタートダッシュがスズキの勝因か
通称名(車名別)でみると、軽自動車のみでの販売ランキングは1位ホンダ N-BOX、2位スズキ スペーシア、3位ダイハツ タントとなっているのだが、2019事業年度締めでは2位がタントで3位がスペーシアとなっていたので、スペーシアがタントをランキングで抜いたことになる。
2020事業年度におけるスペーシアの平均月販台数は月販目標1万2000台に対して約1万2100台、タントは月販目標1万2500台に対し、月販平均台数は約1万684台となり、月販目標台数を下まわる結果となった。
販売基幹車種の1台となるタントの販売苦戦に加えて、スズキ ハスラーが年間販売台数8万5426台なのに対して、 “ハスラーキラー”などと呼ばれ2020年にデビューした、ダイハツ タフトが6万918台と2万台強の差がついている。
タフトが年度途中でデビューしているので、平均月販台数でみると、両車とも目標月販台数比で1000台ほど上乗せとなっているが、タフトがハスラーの勢いを止められなかったことなどもあり、軽乗用車販売でスズキがトップになったといっていいだろう。
また、スズキは高齢者に向けた“サポカー補助金”を、人気女性アイドルグループを使ったテレビCMでアピールし、販売現場でも積極的にその存在をアピールしていたとも聞いている。
また細かい話になるが、2021年1月の初売りセールでは、スズキが一部を除くことにはなったが、ほぼ全国的に正月3日から例年のようにスタートさせていたが、ダイハツは今年に限った話ともいわれているが、いままで3日だったのが4日スタートとなった。
あくまで個人的な感想とはなるものの、販売現場の熱量はスズキのほうが高かったことも、軽乗用車でダイハツがトップを獲れなかった原因といっていいかもしれない。
■N-BOXが首位陥落!! SUVを派生車として販売したヤリスの作戦勝ち
続いては、軽自動車も含めた通称名(車名)別販売ランキングに話を移そう。
事業年度に限らず、暦年締めやそれぞれの上半期、下半期などでのランキングではここのところN-BOX常勝が続いていた。
ただ今期は2020年末にマイナーチェンジを実施しているので、2020事業年度中の多くが末期モデルであったりしたことも影響したのか、N-BOXがいまひとつ勢いに乗れていない様子だった。
そのなかで、2020年9月以降は単月締めでトヨタ ヤリス(ヤリス クロスを含む)が、各単月の総合ランキングでN-BOXを押さえてトップを続けていたので、「まさか」とは思っていたのだが、予想通りヤリスがN-BOXを押さえ、「2020事業年度に最も売れた新車」となった。
その差はわずか4752台(月販平均差では396台)という、まさにデッドヒートの結果ヤリスがトップとなった。N-BOXは2019事業年度締めまで3年続いた、事業年度締めでの登録車も含む年間販総台数トップの座を登録車であるヤリスに奪われたたことになる。
この結果に大きく貢献したのはヤリス クロスといえるだろう。フルカウントで合算された2020年9月以降は前述したとおり、N-BOXを押さえ軽自動車も含んで、ヤリスの販売ナンバー1が単月締めで続いている。
ヤリスの月販目標台数は7800台、ヤリスクロス4100台となっている。ヤリスクロスがフルカウントで合算されるようになった、2020年9月から2021年3月までの、ヤリスとヤリスクロスを合わせた累計販売台数は14万5318となり、月販平均販売台数は月販目標を合算した1万1900台に対し、約2万759台となっている。
勢いのある時のN-BOX、いやそれ以上のレベルで売りまくっていたのである。
2020年2月にヤリスが正式発売となっており、ヤリスだけでも「そこまで売っているという感覚がない」とか、「多くはレンタカーになっているのではないか」などといった話を販売現場で聞くほどヤリスだけの販売台数でも多かった(確かに街なかでレンタカーを多く見かける)。
それでもヤリスだけではN-BOXにはかなわない状況となっていただけに、ヤリス クロスが現状で契約しても、納車は今年の秋以降となるほど大ヒットし、その販売台数が上乗せとなったことは、ヤリスが統計上販売ナンバー1になった大きな原動力となったのである。
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