日産 ノートに初搭載され、人気となった「e-POWER」システム。2020年末に登場した新型ノートで、第2世代へと進化したe-POWERは、動力性能やレスポンス、燃費性能も、すでに熟成の域に至っているといっていいだろう。
同じく国産ハイブリッドの雄といえば、トヨタの「THS II」。中低速ではモーターとエンジンを使い、高速走行時には主にエンジン駆動と、こちらも燃費効率がいいシステムだ。
e-POWERとTHS II、どちらも優れたシステムであることは間違いないが、実はシステムが大きく違うため、その特性も違ってくる。
具体的にどんな違いがあるのか、本稿では、e-POWERとTHS IIそれぞれの得意分野と不得意な分野について、考えていく。
文/吉川賢一 写真/TOYOTA、編集部、NISSAN
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■トヨタ流のTHS IIは「これといった欠点がない」のが魅力!?
プリウスをはじめとして、コンパクトカー(ヤリスシリーズ、アクアなど)、ミドルセダン(カローラなど)、ミドルミニバン(ヴォクシー、ノアなど)、ミドルクラスSUV(C-HR、RAV4、ハリアー)。
さらにはラージセダン(クラウン、カムリ、センチュリー)、ラージミニバン(アルファード、ヴェルファイア)に至るまで、システムの世代や大きさ、組み合わせる動力用エンジンなどの違いはあるが、トヨタのハイブリッド車は、いずれも「THS(トヨタ・ハイブリッド・システム)II」搭載車だ。
THSは、遊星歯車を用いた動力分割機構を備え、発電用モーターと駆動用モーターのふたつを制御し、エンジンのエネルギーを、駆動や充電に振り分ける。
4代目となる現行プリウスに搭載されたリダクション機構付きTHS IIは、リダクションギヤのプラネタリーギヤを平行軸歯車に変更し、モーターを複軸配置する「新複軸構造トランスアクスル」を採用、新型ヤリスではそれらの小型化に成功している。
レスポンスが良く、ダイレクトな加速感が得られる点や、高速走行中でも、エンジン休止することで燃費向上も実現、変幻自在に多くの車種へと展開できる間口の広さ、大量生産によるコスト低減、壊れにくいという実績、皆が乗っているという信頼性、こうした点はTHS IIの大きな魅力だ。
THS IIはまた、これといって不得意な面がないのも魅力だ。ダイナミックフォースエンジンの出力や燃費、音振、フィーリングなどに不満はなく(重箱の隅をつつけば、加速時のエンジンサウンドなど、物足りない点もあるが)、指摘できるネガティブポイントはない。
今後も細かな改良が続くと思われるが、THS IIは「ひとつの技術の完成形」と言ってよいのではないだろうか。
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