実は長足の進化を遂げているアメ車の最新事情
ボクは毎年ワールドカー・オブ・ザイヤー(WCOTY)の試乗会でアメリカに行き、様々なアメ車に試乗しているが、ここ数年のアメ車の進化はもの凄いと感じている。
まず、ミニバンのクォリティが凄い。イチオシはクライスラー パシフィカ・ハイブリッドだ。
いわゆるプラグインハイブリッドで床下に16.0kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、モーターのみで約50km走行する。
しかも、アトキンソンサイクルのV6 3.6Lエンジンを搭載。ボディはアルファードよりも大きいけれども、トルク感豊富、室内静か、乗り心地バツグン。
公称34.0㎞/Lの燃費は大袈裟かもしれないけれど、とにかくガソリンが減らない。
ACC(追従型クルコン)やレーンキープアシスト、プリクラッシュブレーキなど安全装備もしっかりしている。
コンパクト系SUVではビュイック エンビジョンもボディ剛性がしっかりしていて、サスペンションはストロークがあるが驚くほどしなやかにコーナリングする。セダンのビュイック ラクロスは、もうアメ車のラグジュアリー感が素晴らしい。
キャデラックは日本にも導入されているので、その良さは日本のモータージャーナリストも認めているところ。とにかく昨今のアメ車は欧州車? と見まがうくらいに良くなっている。
しかし、その良さが一般に伝わっていないのは我々の責任でもある。反省。では、どうして売れないのか?
アメ車が日本で売れない本当の理由
先述のような偏見もまだ根強く残っているだろう。サイズがバカでかいことも一部のユーザーにしか許容されないこともある。しかし、今、強く思うのは、フォードの日本市場撤退が大きいということ。
撤退直前、フォーカス、フィエスタと日本市場にマッチした新車がデビューし、しかもその性能が素晴らしかった。特にフォーカスは、静粛性もハンドリングもコンパクトカーの域を超えていた。
しかし、廉価版モデルを輸入できず、日本でのラインナップはラグジュアリー系のそこそこ価格の高いモデルのみだった。これじゃぁ売れないよね。さらに、販売店が少ない。
アメ車のインポーターは、どこも販売網に苦労している。理由は、アメリカ本社が「売れないから」と予算を与えないため。
トランプ大統領、あなたの言いたいことはわかるけれども、日本でもっとアメ車を売りたいのなら、まずフォードを復帰させること。そして、そして販売店を増やして販売網を強化することを米自動車メーカーに直接指示してください。
そうすれば、貿易摩擦も改善するはずです。
◆日本で買えるアメ車事情
フォードが撤退した現在、日本で正規モデルを販売するのはジープ、キャデラック、シボレー、テスラの4ブランド。各ブランドで代表的なモデルと、その価格は次のようになっている。
・ジープ レネゲード ロンジチュード/297万円
・キャデラック ATS ラグジュアリー/479万円
・シボレー カマロ LT RS/478万円
・テスラ モデルS 75D/960万円
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