レクサスCTの価値と存在意義 登場10年で苦しむ“高級の入門”

■「想像より大きいな」 実は“コンパクト”ではないCT

室内の広さは後部座席の実用性を保つギリギリの広さに設定されている
室内の広さは後部座席の実用性を保つギリギリの広さに設定されている

 CTは、男性の単身者や、若年層夫婦(子供1人)などからも選ばれる。全長4355mm、全幅1765mmのボディサイズは、後部座席へ人を乗せても、ギリギリ苦しくないレベルだ。

 メルセデスベンツのAクラスや、BMWの1シリーズと同じCセグメントで戦っているわけだが、個人的にはBセグメントで戦うほうが、CTのキャラクターには合っているのではないかと考える。アウディA1やVWポロ程度の、全長4000~4100mm程度のサイズ感がいい。

 4355mmという全長は、日本のコンパクトカーを基準にすると、大きな部類に入る。ショールームでは、来店客から「想像より大きいな」という言葉をよく聞いた。日本国内でのコンパクトカーに対するイメージは、もう少し小さいクルマになるのだろう。

 家族ユースのハッチバックとして使用することもでき、購入ユーザー層への守備範囲は広いのは、現在のCTが持つメリットだ。

 また、全長4300mm台は、欧州市場では人気のサイズ感であり、欧州での人気はまだまだ衰えていない。しかし、サイズと価格に中途半端感があるからか、日本での人気はどんどんと下火になってきている。

 Bセグメントハッチバックにすれば、もう少し車両価格も下がるだろう。今より、小さくて安価なクルマが、日本市場に限っていうと、CTにふさわしいカタチではないだろうか。

■今後のレクサスにとってCTはどうあるべきか

作るのが難しいプレミアムコンパクトだからこそ、レクサスがそれをどう料理するのかを見てみたい
作るのが難しいプレミアムコンパクトだからこそ、レクサスがそれをどう料理するのかを見てみたい

 CTはデビューから10年、フルモデルチェンジは0回だ。フラッグシップカーのLSが11年間フルモデルチェンジをせずに、販売されていたことはあるが、CTはエントリーモデルである点に注目したい。

 エントリーモデルだからこそ、クルマの鮮度は重要なポイントとなる。中身をどれだけ改装しようにも、入り口が古ぼけているところには、足を踏み入れる気が薄れてしまうものだ。CTの鮮度は、レクサス全体のイメージにも関わってくる。

 筆者としては、早急にCTのフルモデルチェンジを望みたい。小さななかに、あれこれと詰め込まなければならないプレミアムコンパクトは、作るのが難しいクルマだ。しかし、今のレクサスがコンパクト市場で何がしたいのか、その答えを10年間聞けていないのは寂しい。

 UXはあくまでもSUVであり、CTの代わりにはなれないだろう。低重心で走行性能を高められるハッチバックを、日本のプレミアムはどう料理するのか、楽しみに待っていたい。

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