■購入自体がもう古い!? 真のニューノーマルは“クルマのサブスク”
“新車の買い方”からは外れるが、トヨタが展開する“KINTO”は“ニューノーマル時代の新車の乗り方”といえるだろう。
“サブスクリプション”などとPRしているが、わかりやすくいえば“個人向けカーリース”となる。日本では長い間企業でさえ、クルマ以外事務用品などでもリースを嫌い、買い取りにこだわる傾向が目立っていた。
当然クルマの個人所有であっても、ユーザーの抵抗が目立っただけでなく、審査も厳しかったのでリースでクルマに乗るというのは、法人がメインとなっていた。
アメリカでは個人リースはかなり普及しており、テレビコマーシャルでも月額リース料金の割安さを強調するものが多く、リセールバリューの良い日本車はリースでも人気が高い。
「リース車両でフリーウエイにて事故を起こし不動車になったので待っていたら、積載車で同じ新車が現場に届いた」といった話を聞いたことがある。
KINTOは従来のカーリースをベースに、より個人で利用しやすいものにしてある。そしてメインターゲットは若者となっている。
クルマ離れが目立つとされる若者であるが、価格の高い新車を購入することへの抵抗だけでなく、むしろ新規加入での任意保険料の高さなど、維持費負担の重さもネックになっているといってもいいだろう。
その点個人向けカーリースであるKINTOでは、任意保険料だけでなく契約期間の車検も含むメンテナンス料金、税金などすべてがコミコミとなっているのである。
「新車購入ということにして、別途任意保険に新規加入したり、メンテナンスコストの負担をするよりは圧倒的にKINTOのほうが割安イメージはあります」とは、某トヨタ系ディーラーセールスマン。
極力“ものを持ちたがらない”といういまどきの若者のライフスタイルにも個人向けカーリースは新車の乗り方としてスマートに映るものと考えKINTOが用意されたようだ。
KINTOがスタートした当初、販売現場では周知が進まないこともあり抵抗を示す声も聞かれたが、いまでは理解を示すセールスマンも目立ってきた。
「私は若者よりも、ご高齢なお客様へおすすめすることが多いですね」とは前出のトヨタ系ディーラーセールスマン。
一般的なカーリースでは、中途解約に際しては“中途解約金”が発生し、KINTOでも中途解約金が発生するのが原則なのだが、例外として個人で契約していて、海外転勤や免許返納などが理由による中途解約では、中途解約金がいらないのである(海外転勤、免許返納が理由の場合は3年契約のみ)。
また、あまり縁起のいい話ではないのだが、KINTO契約中に契約者が亡くなった時にも中途解約金がかからない。実は、所有名義人が亡くなったあとの、亡くなった人名義の所有車の処分は、以前よりは簡略化されているのだが、相続手続きが必要になるので実に煩雑で面倒なものとなる。
積極的にメリットしては声高に言えないのだが、カーリースとなるKINTOでは煩雑な手続きは不要となる。
前出トヨタ系ディーラーセールスマンに、「カーリースであるKINTOでは販売実績にならないのでは?」と聞いたところ、「株式会社KINTOへ車両販売したことになりますので、きちんと実績カウントされます」とのことであった。
新車販売では、“トヨタ一強”がより鮮明化している。トヨタ系以外のディーラーでは、「ローン金利を下げる(トヨタ系は全般的に高め)しか対抗策はない」と、半分諦めムードが漂っているが、ニューノーマルの時代に対応した、新しい新車の買い方などの積極的な提案がトヨタ一強を崩すことにつながるものと考えている。
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