なぜルノーカングーは日本でも愛されているのか? 歴代車から新型まで魅了される理由とは 


■パンの味やコーヒーの香りのように、感覚で楽しむクルマ

非日常にロマンを求めるタイプのクルマではなく、日常に溶け込みつつ、日々に少しだけ彩りを与えてくれるタイプのクルマだ

 ついでながら、もしも筆者がカングーを買いたいと思ったら、家内には「『PAUL』は小麦や生地をフランスから直輸入して作っているんだって? だからあそこのクロワッサンはあんなに美味しいんだね。カングーって、まさにそういうクルマなんだ」とサラッと説明しながら了解をとりつけるのかもしれない。

 カングーは、デロンギのエスプレッソマシンやダイソンの掃除機と同列の、ほかとは違うデザインや使い心地のよさを楽しみながら使う身近な道具(クルマ)だからだ。

 一応、自動車雑誌のスタンスでも書いておけば、フルゴネットがルーツのクルマだけに、実用性の高さは申し分なく、特にボディが初代よりサイズアップした現行型ではゆとりが一層増した。

 左/右=850/600mmと非対称サイズのダブルバックドアを開けた際の開口部は天地1100mm、幅1170mmと大きく、床面の高さは590mmと低いから、理屈抜きで使い勝手がいい。室内側も天井が高くゆったりしており、頭上(や床下)の物入れも実用的だ。

 もちろんルノーらしいホッコリとした乗り心地、長距離ドライブでも疲れないシートや高速走行時の安定性などは、フランス車ならでは。走行中は決して静粛性が高い訳ではないが、それとて自動車が走っている感を伝える、自然で決して耳障りとは感じないエンジン音でありロードノイズだ。

 要はヨーロッパの小型車らしくクルマ自体の実力にかけても申し分のないレベルの高さなのである。

■感覚的でありながら同時に実用的なプロユース感も魅力

フランスでは6月にも発売が開始される新型カングー。歴代カングー同様に愛されるクルマとなるだろうか

 それと少し前にも書いたことがあったが、プロユースの道具感は、カングーならではの世界観だ。初代と現行モデルを較べると、室内がほとんどボディ色剥き出しだった初代に対し、現行モデルはピラー部分も樹脂トリムが施され、初代に較べかなり普通の乗用車風にはなった。

 それでも日本のミニバンのように至れり尽くせり、ありとあらゆる装備が奢られているわけではない。が、もしも何か必要なら使いながらユーザー自身の創意工夫で対処していけばよく、そういう楽しみ、余地があるのがカングーの魅力だ。

 買い物でいえば、デパートや洒落たブランドショップをシャナリシャナリと見て楽しむというよりも、倉庫のような店内を歩きながら欲しいものを見つけては大型カートにガシガシと放り込んでいくコストコ流といったところ。

 自分の生活スタイルに合わせて、どんな使い方にも応じてくれるのがカングーのよさだ。

 ちなみにルノーのデータによれば、現行モデルのボディカラーで1番人気は“ジョンアグリュム”と呼ぶ黄色とのこと。

 初代でも“レモンイエロー”が人気色で、日本仕様で本国でドロップ後も特別に用意されたほどだったが、このこともハッピーなカーライフを楽しみたい……、そう考えるオーナーの気持ちの表れなのかもしれない。

 またそう思わせてくれるカングーには、やはりただの実用車にはないキャッチーな魅力が備わっているということだろう。キャラの立った輸入車ならほかにもミニ、VWビートル、フィアット500などがある。

 けれどカングーは、ファッションアイテムの範疇に留まらず、手ごろなボディサイズながら、普段使いはもちろん、アウトドアレジャーにもスポーツにもフル活用できる実用車であるところが大きなアドバンテージという訳だ。

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