白いグランエースFCV現る! 世界にたった1台の実験車両に緊急試乗!

白いグランエースFCV現る! 世界にたった1台の実験車両に緊急試乗!

 トヨタは新型MIRAIをベースにした試作車を作り、さまざまな可能性を探っている。世界でたった1台のグランエースFCVに乗ってみると、燃料電池車の未来が見えてきた。

※本稿は2021年4月のものです
文/国沢光宏 写真/TOYOTA、ベストカー編集部、撮影/池之平昌信
初出:『ベストカー』 2021年5月10日号

【画像ギャラリー】トヨタが指差す燃料電池自動車の未来! グランエースFCVをギャラリーでチェック!


■今年の箱根駅伝に現れた白いグランエース 車体には「FCV」のステッカーが

 今年の箱根駅伝を見ていた読者から「FCVと書いてあるグランエースが走っていますが情報ありますか?」というメールをもらった。

全長5.3m、車両総重量3トン超えの巨体が音もなく鋭い加速を見せる様は圧巻!
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 調べてみたら、なるほど白いグランエースの横に小さくFCVというステッカー。お正月ということもあり広報は連絡取れないため、燃料電池関係の人に聞いてみたら「わかっちゃいましたか~!」だって。

 そりゃFCVってステッカー貼ればバレるでしょ!

 すると「隠すつもりはないと思いますが、積極的なアピールもしてないのでスルーされると思ってました」。

 早速ネットで記事にしたら、その後、いろんなルートから情報入ってきました。

 どうやら燃料電池開発領域のトップ、燃料電池の可能性について幅広く考えているという。

 3月31日に発表された燃料電池の医療車も、開発領域トップのアイデアらしい。

コースターをベースにしたFC医療車は初代MIRAIのFCスタックを採用。熊本赤十字病院と協力し、今夏から実証実験が始まる
コースターをベースにしたFC医療車は初代MIRAIのFCスタックを採用。熊本赤十字病院と協力し、今夏から実証実験が始まる
自然災害が増え続ける日本では被災地での医療活動の重要性も高まっている。FC医療車は最高出力9kW、供給電力量90kWhのDC外部給電システムを持ち、多目的での活躍が期待できる
自然災害が増え続ける日本では被災地での医療活動の重要性も高まっている。FC医療車は最高出力9kW、供給電力量90kWhのDC外部給電システムを持ち、多目的での活躍が期待できる

 燃料電池の医療車、発電機やエンジンを回さないで大量の電力を供給できる。燃料の充填だって3分。なるほどディーゼルエンジンや電気自動車よりずっと利便性が高い。

 さて、今回試乗したグランエースFCVは、今後出てくるだろう燃料電池をパワーユニットに使うモビリティのコンセプト第1号という位置づけとか。

 もちろん現時点で量産する計画なし。そもそも1台限りの試作車であります。

 簡単にクルマの紹介をすると、ベースはグランエース。車体からエンジンやミッション、駆動系などすべて取り去り新型MIRAIのユニットを組み込んでいる。

エクステリアはグランエースと変わらないが、FCVインテリジェント オフィスのステッカーが示すとおり、「走る重役室」といったものだ
エクステリアはグランエースと変わらないが、FCVインテリジェント オフィスのステッカーが示すとおり、「走る重役室」といったものだ

 驚いたことにボンネット開けたら4気筒エンジンを搭載していたスペースにキッチリと燃料電池が! クロスメンバーやフロントサスペンションなどはベースのグランエースのまま。燃料電池、案外コンパクトです。

 床下には新型MIRAI用の長い水素タンクを2本積む。水素タンクを専用設計すればさらに容量を増やせる(航続距離を伸ばせるという意味)そうな。

新型MIRAIのシステムを採用し、FCスタックの最高出力は174ps、駆動用モーター出力は182psという。ただし高圧タンクは3本からリアの1本を外し2本になっている
新型MIRAIのシステムを採用し、FCスタックの最高出力は174ps、駆動用モーター出力は182psという。ただし高圧タンクは3本からリアの1本を外し2本になっている

 そして新型MIRAIと同じモーターで後輪を駆動する。

 室内はVIPの移動用仕事スペースといったコンセプト。100V電源を5箇所。PC用の大型液晶や、携帯大手3社の電波を使うWi-Fiも設置。繋げてみたが、走行中も安定しています。

次ページは : ■いざ試乗! 重量級だからキビしいかと思いきや…?

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