スーパーカーの雄・ランボルギーニが、2023年から24年にかけて、ラインナップをすべて電動化し、2025年までにCO2排出量を半分に減らすため、15億ユーロを投資すると発表した。既存のラインナップは、すべてプラグインハイブリッドになり、近い将来、4座のピュアEVも出すという。
スーパーカーの魅力のひとつである官能的なエキゾーストノートはもう聴けなくなってしまうのだろうか。
文/清水草一 写真/Lamborghini、Ferrari
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■電動化以外に欧州メーカーの生き残る道はない
他のスーパーカーも、同様の道を進むことになるだろう。従来の大排気量内燃エンジンのみで爆走するスーパーカーが消えるのは寂しいが、メーカー側はもっと切実。電動化以外、生き残る道はない。
プラグインハイブリッド化すれば、欧州の燃費規制では、異常なほど優遇される。EVモード、つまりモーターのみによる航続距離が25kmあれば、CO2排出量のカウントが約半分になり、50kmなら3分の1まで下がるのだ。
ちなみに欧州のCO2排出量目標は、1台あたり95g/km、つまり24.4km/Lと猛烈に厳しい。
メーカーごとの個別の目標値は,車両の重量とサイズ,年間生産台数をもとにして複雑な計算で算出されるが、生産台数が30万台未満のメーカーは扱いが異なる。
フェラーリは年間30万台未満1万台以上なので、07年に対して45%減。ランボルギーニは年間1万台未満なので、個別にEUと交渉することになる。いずれにせよ、スーパーカーといえどもCO2削減を迫られていることは確かだ。
■CO2削減と騒音規制はスーパーカーでも例外なし
例えばV12自然吸気エンジンを積むアヴェンタドールLP700の場合、CO2排出量は499g/km(4.6km/L)と凄まじく悪い。V10自然吸気のウラカンEVが332g/km。
アウディ製V8ターボのウルスでも325g/kmと、ターボ化では解決不能だ。しかしこれらをプラグインハイブリッド化すれば、それだけで2分の1にできる。さらにピュアEVが加われば鬼に金棒だ。
スーパーカーにとってもうひとつの壁が、騒音規制の強化だ。
2022年から導入される予定の新たな加速騒音規制(国連欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラムにおいて策定された国際基準であるUN Regulation No.51 03のフェーズ3)は、スーパーカーを消滅させる――とすら噂されている。
騒音規制は2016年にフェーズ1、2020年にフェーズ2と、これまでも強化されてきた。その最終段階であるフェーズ3は、EVですらクリアが難しいと言われているから、従来のスーパーカーがパスできるはずはない。
このフェーズ3、日本への導入時期は未定。アメリカはそもそも未加盟なので導入予定がない。
欧州も、本当に来年からこれを導入するのかどうか、宮廷政治のような部分がありはっきりしないが、いずれにせよ導入されれば、スーパーカーの官能的なサウンドは消滅を免れない。
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