■知恵を絞り、力を合わせることで、超小型モビリティの可能性は拡大する筈だ
前述の佐川急便は日本の商社が立ち上げたEVベンチャーと独自に共同開発した、配達に特化したEVを中国で生産する計画だ。日本の自動車メーカーでは専用車両を7200台を生産するのは採算性の問題で難しいからだ。
同じく物流大手のヤマト運輸も、独自のEV配送車両を開発中だという報道もある。ライバルだから難しい部分もあるのだろうが、せっかくならここは1つの自動車メーカーが仲介して共通化することでスケールメリットを出して欲しかったとも思う。そうなれば国産化の可能性も高まるからだ。
超小型モビリティは前述のように高齢ドライバーによる交通事故を減少させたり、CO2の排出量を削減することにつながるだけでなく、日本の自動車産業を活性化する原動力になり得るものだ。
ここ数年、「eアクスル」と呼ばれるモーターと減速機、デファレンシャルギアまでをモジュール化したユニットをメガサプライヤーや変速機メーカー、モーターメーカーが開発競争して、自動車メーカーへの納入を目指している。超小型モビリティであれば、それよりも小規模なティアー2以下のサプライヤー(二次以下の下請け)でも主要部品を作ることができるハズだ。
モーターはエンジンに比べると技術的なノウハウがそれほど必要ない、と言われるが歯車部品やバネ部品など、日本製ならではの高品質な部品は意外と多いのだ。そうした小回りの利く小規模なメーカーが力を合わせて、ユニークな商品を多品種で作ることができれば、日本のモビリティは豊かな時代を迎えることもできる。
高齢者向きの操作がしやすいクルマ、低価格で耐久性に優れたカーシェア向きのクルマ、若者でも買えるスポーティで運転が楽しいクルマ……。超小型モビリティにはたくさんの可能性が秘められているのだ。
超小型モビリティという制度が完全に確立されるまでには、もう少し時間がかかるのかもしれないが、物流や自治体での利用に留めておくにはもったいない魅力あるカテゴリーだけに、色んな企業の参入を期待したいところだ。
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