夢の名車の宝箱!? カーアクションカルトムービーのリメイク『60セカンズ』を観る

■とっておきのカーチェイスシーンはGT500「エレノア」で!!

最後に盗むシルバーの67年シェルビーマスタングGT500。劇中では「エレノア」のコードネームで呼ばれる
最後に盗むシルバーの67年シェルビーマスタングGT500。劇中では「エレノア」のコードネームで呼ばれる

 そして、メンフィスがもっとも思い入れを示すのが、最後に盗むエレノアと名付けられたシルバーの67年シェルビーマスタングGT500。オリジナルでも最後の車は同じくエレノアという名前だが、車はイエローの73年フォードマスタングと異なる。

 このGT500を盗みドライブするメンフィスことニコラス・ケイジは、彼をBMWで追い詰める宿敵の刑事とロサンゼルスのヴィンセント・トーマス橋周辺で大チェイスを繰り広げる。

 実は本作、カーアクションと呼べるのはこのシーンだけなのだが、いろいろと趣向をこらして盛り上げてくれる。

 橋に至るまでメイン通りや脇道、水路を使い、パトカー、トラック、バス、ヘリコプターが立ちはだかり、巨大な水素タンクが転がり、事故で大渋滞中の橋ではスーパー級のジャンプを決行したりと、ヴァラエティに富んでいるのだ。

 この凄まじいドライビングをやってのけたのは、撮影前に教習を受けた上に、そもそも車好き(というかコレクター)のケイジ自身だと言われているが、どこまでやったのかはよく判らない。少なくとも最後の特大ジャンプにはデジタルが使われていることは確かだろう。

 また、エレノアは撮影のために7台のレプリカが作られ、スタントシーンで5台が使われ、残りの2台はケイジとブラッカイマーが記念に貰ったと言う。

 13年にはその車の1台がオークションにかけられ1憶円で落札されたというニュースが報じられたので、もしかしたらこのふたりのどちらかが売りに出したのかもしれない。

 本作の紅一点、かつての主人公の恋人でもあった女性スウェイを演じるのは、『17歳のカルテ』(99)でアカデミー助演女優賞に輝いたばかりのアンジェリーナ・ジョリー。

 当時はバリバリのパンクなおねえさんで、颯爽とバイクにまたがって登場する。このバイク、ファンにたまらない99年製のMVアグスタセリエオロ(ゴールドシリーズ)。バイクながら最高速度281キロを誇る、世界でわずか300台しか生産されなかった激レア製品だ。

 こんなバイクもちゃんとサマになっているあたり、さすがアンジー。当時の彼女の愛車はフォード・トラックだったというのも何となくしっくりくる。

 もちろん、ケイジが本作に出演したのは車が大好きだったから。そして、アンジーもまた同じ理由で出演したという。彼らのその気持ちは伝わってくる。

●解説●
 かつて最強の車泥棒として名を馳せたメンフィスだったが、今はすっかり足を洗い子ども向けのサーキットで働いていた。そんな彼のもとに実弟のキップと仲間がヤバい連中に借りを作り、抜き足ならない状況に陥ったという報せが届く。メンフィスは弟を助けるため、かつての仲間を集めることに。

 メガホンを取ったのは『ソードフィッシュ』(01)等、クライムアクションを得意とするドミニク・セナ。オリジナルはカーアクションのみに特化していたが、本作では兄弟愛や仲間愛をドラマにすえてウェルメイドな作りになっている。

 その脚本にはクレジットなしで『スター・ウォーズ』シリーズのJ.J.エイブラムスも協力したという。また、脚本にはオリジナルのハリッキーの名前と、エグゼクティブプロデューサーには彼の奥さんデニースの名前がクレジットされている。

 ハリッキーは89年、『バニシングIN60“』の続編を撮影中、給水塔に突っ込むスタントによって事故死した。03年には奥さんのデニースがそれを30分の短編としてまとめ『Gone in 60 Seconds2』というタイトルで発表している。

※記事中に掲載していますクルマの写真は登場車と同型のもので、実際に映画に登場しているものではありません。

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『60セカンズ』
ブルーレイ発売中/デジタル配信中
(C) 2021 Buena Vista Home Entertainment, Inc.
発売/ウォルト・ディズニー・ジャパン

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