流麗なフォルムを持つ真っ白な2シーターオープンのレーシングカー「マッハ号」が活躍するアニメ『マッハGoGoGo』。
1968年に放映された古典作品だがいまだに多くのファンがいて、マッハ号のレプリカが製作されたり、マッハ号と同じカラーリングのマシンがスーパーGTに参戦したりしている。
今回はそんな『マッハGoGoGo』をハリウッドでリメイクした映画『スピード・レーサー』をご紹介しよう!
文/渡辺麻紀、写真/ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
【画像ギャラリー】マッハ号がハリウッドを走ったらこうなりました!! 映画『スピード・レーサー』を観る
■日本のサブカルチャーを愛するウォシャウキー兄弟が『マッハGoGoGo』をリメイク
『マトリックス』シリーズ(99~03)で大ブレイクしたラリーとアンディのウォシャウキー兄弟。『マトリックス』のときには押井守の『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』(95)の影響を語り、日本のサブカルチャーへの愛が強いことでも話題になった。
そんな彼らが08年に発表した作品が『スピード・レーサー』。日本の人気TVアニメ『マッハGoGoGo』のハリウッド実写リメイクである。
68年にオンエアが始まったタツノコプロの『マッハGoGoGo』は、最速のレーサーを目指す青年とその家族を描いたカーアクションアニメ。当時としてはバタ臭いアメリカ的なデザインが魅力的な、他のアニメとは一線を画する存在だった。
そういうことも功を奏したのか、日本の放送からわずか6カ月後、タイトルを『スピード・レーサー』に換えてアメリカでも放送が始まり、再放送を繰り返して多くのファンを生み出した。そのなかのふたりがウォシャウスキー兄弟。彼らの言葉を借りるなら「私たちが初めて触れた日本のアニメだった」になる。
アメリカ版での変更はタイトルだけではない。キャラクターの名前も、日本では三船剛だったのがスピード・レーサーとなった。タイトルは彼の名前なのだ。
■多少の設定変更はあるが、ビジュアルはアニメ版を踏襲
この映画版でスピード・レーサーを演じるのは、自身もアニメ版が大好きだったと言う『イントゥ・ザ・ワイルド』(07)等で知られるエミール・ハーシュ。何となく面差しがアニメに似ていないこともない。
コスチュームもアニメと同じ赤いバンダナに青いシャツ&白いパンツ、そしてヘルメットも「M」の赤い文字が刻まれたホワイト。さらに彼のレーサー一家もアニメのデザインに準じていて、末っ子の相棒であるチンパンジーまで登場している。
日本版ではミチだった三船剛のガールフレンドはトリクシーと名前を換え、『アダムス・ファミリー』(91)等のクリスティーナ・リッチが演じている。ルックスは似ていないが、メイクやコスチューム、雰囲気はアニメキャラまんま。
しかもアニメ版と同じようにヘリを操り、スピードを空からサポートする。
が、もっともアニメ版を意識しているのはやはりレースの激しさだろう。
サーキットはもちろん、砂漠や岩場、ジャングル等、道なき道を走り、反則技も当たり前のカーアクションを展開していたアニメ版をより過激に再現。道なき道を疾走し、ときにぶつかり合ったり宙返りしたり、崖を走り下りたりと、法則無視、重力無視の暴れっぷり。
カーサ・クリスト5000と呼ばれるレースは、あの『ベン・ハー』等のチャリオットレース顔負けの大迫力。タイヤからスパイクや剣を繰り出し、その攻撃を交わすための盾も飛び出して、アニメの感覚をとことん再現している。
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