クルマのサイドウインドウの上端に沿って取り付ける装備「ドアバイザー(サイドバイザー)」。かつては、多くの国産車に装着されていたドアバイザーだが、最近ではこのドアバイザーの装着率が減少傾向にある。
しかし、換気が重要視される今こそ、ドアバイザーはその価値を見直されていい装備だ。ドアバイザーの効能をいま一度振り返りつつ、国産メーカーの設定状況などについても、確認していく。
文/吉川賢一
写真/HONDA、Adobe Stock、NISSAN
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■「換気効率」を大幅向上させるドアバイザー
ドアバイザーといえば、「喫煙者が車内でタバコを吸うときに必要なもの」とか、「雨の日でも、車内に降りこむことなく窓を開けることができる」という使い道で理解している方がほとんどであろう。
しかし、実はドアバイザーには、「換気効率が向上する」という、いまの時代に「もってこい」な機能があるのだ。
ドアバイザーによって換気が促されるのは、走行時の風圧を利用した流体力学のメカニズムに基づいている。車両前方からドアバイザーに向かって流れてきた空気は、ドアバイザー表面に沿って流れてゆく。
空気の流れがドアバイザーから剥がれる際、ドアバイザー内側の空気を巻き取るように、後方へ移動しようとする。それによって、車室内の空気が、小さく開けた窓から吸い上げられるようになり、強制的に換気が促されるのだ。
ドアバイザー付きのクルマで、走行中に小さく開けたガラスの付近に手を当てると、結構な勢いで空気が吸い上げられているのがわかるので、疑問に思う方はやってみてほしい。実はこれ、ダイソンの羽根のない扇風機とメカニズムは同じ。ドアバイザー付近の圧力差を利用したメカニズムだ。
■装着率低下の原因は「喫煙率の低下」と「カーエアコンの進化」
日常的に、クルマの中でタバコを吸う方にとっては、ドアバイザーは必要なアイテムではあるが、昨今は喫煙する方が減っていることに加え、カーエアコンの進化などによって、ドアバイザーを必要としないユーザーが増えた、ということが大きな要因であろう。
また、ドアバイザーが「古い」とか「カッコ悪い」と感じている方も多いようだ。
アフターパーツメーカーが用意している商品のなかには、ドレスアップ用のドアバイザーもあるが、自動車メーカーが純正オプション部品として用意している部品ではほとんど見られず、できるだけ存在感を消すように、コンパクトに作られている。
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