「芸術品の軽自動車を守り抜いてほしい」勇退した鈴木修氏の功績とは


■鈴木修氏勇退後のスズキはどうなるのか?

 以上のように鈴木修氏の足跡を振り返ると、車両の開発と販売、海外進出や他社との業務提携、さらにオイルショックや排出ガス規制などの受難が生じた時の対応まで、すべてに精通して的確な指揮をしてきたことがわかる。

 スズキだけでなく、日本の自動車業界のリーダーであり、求心力であり、厳しさと優しさを兼ね備える父親のような人物だ。

 今後、鈴木修会長が退任されると、代表取締役社長の鈴木俊宏氏が全面的にスズキの指揮をとる。電動化を筆頭に環境への対応が急務で、自動運転に向けた技術開発も行わねばならない。

 通信機能も含め、他社との協調は不可欠だ。その一方で競争に打ち勝つ必要がある。今まで経験しなかった事柄への対応を、迅速に行わねばならない。

 そこで重要な意味を持つのが、冒頭で述べた鈴木修会長の「軽自動車の芸術品は、守り通して欲しいですね」という言葉だ。運転のしやすい小さなボディに、さまざまな技術やアイデアを凝縮して、割安な価格で提供する。

 この考え方は、軽自動車はもちろん、さまざまなクルマに当てはまるだろう。最先端の技術を備えながら、扱いやすく求めやすいクルマは、日本、海外を問わず好調に売られて多くのユーザーを幸せにするからだ。

 鈴木修氏は、多種多様の困難に直面してそれを乗り越えながら、芸術品を守り通してきた。「鈴木修さんならどうしたか」と時々考えながら、これからも優れた商品を生み出していただきたい。スズキのさらなる発展に、期待しております。

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