■なぜ日本ではGクラスがこれほど人気なのか?
そして、もちろん世界的に人気のメルセデス・ベンツ Gクラスではあるが、とりわけ日本での人気が高い理由は、基本的な部分では下記のとおりであるはずだ。
1/成功のシンボルとして手に入れたい
「予約が1年先まで満杯のレストラン」や「2時間待ちの行列は当たり前のラーメン店」が、その予約の取りづらさや行列の長さにより、さらなる予約確保の困難や待ち時間の長さを生んでいるのと同じ状況が、Gクラスでも起きている。
つまり「売れているから売れる」という、何事においても日本の市場ではよくある現象である。
メルセデス・ベンツGクラスというクルマが「経済的な成功のわかりやすいシンボル」となったことで、「Gクラスが欲しいというよりも、成功の“シンボル”を手に入れたい。
そのためには、ややわかりにくいディフェンダーとかではなく、どう考えても“ゲレンデ”でしょ」と考える人が多いのだ。
2/普通に使えるSUVだから売れている
上記1のとおりGクラスは「経済的な成功のシンボル」となっているわけだが、同種のシンボルであるフェラーリやランボルギーニは(基本的に)2座式のスポーツカーであるため、乗り手や乗るべきシーンなどがきわめて限定されるプロダクトだ。
しかしGクラスはご存じのとおり定員5名の四角い車であるため、富の象徴であると同時に「買い物や通勤、旅行などにも普通に使える」という側面を持ち合わせている。
例えて言うなら、フェラーリやランボルギーニは「普通のダイヤモンド」で、基本的には家に置いておくか、たまに身につけてデパートやパーティなどに行くぐらいの使いみちしかない。
それに対してGクラスは「ルンバの形と機能を持ったダイヤモンド」だ。富と成功の象徴であると同時に、「お部屋をキレイにする」という実用的な機能も十分に有している。だから、売れるのである。
3/造形や歴史が「日本人好み」である
上記の1と2はもちろんそのとおりであると思ってはいるが、いささか意地の悪い見方でもあるだろう。そういった意地悪な見方以前にGクラスは、もちろん「自動車そのものとして好意的に受け取られているから、よく売れている」のはいうまでもない。
2018年以降の現行型ではやや丸みを帯びたフォルムにはなったが、それでも依然として「スパッと斬り落としたかのような四角四面のフォルム」は、欧州文化的なデコラティブよりも「シンプルな美」を尊ぶ日本人の感性や美意識に強く訴える。
また「NATO軍制式採用の軍用車が源流である」という部分も、ミリタリー系の趣味や文化に惹かれる場合が多い日本人男性の琴線に激しく触れる。
それゆえ、モノコック構造で乗り心地が良い他社製プレミアムSUVと比べれば、さして乗り心地とハンドリング性能が抜群なわけでもないGクラスが、快適な他社製よりもバカ売れするのだ。
■新車で買うならどのグレード?
で、そんなメルセデス・ベンツ Gクラスをもしも新車として購入するのであれば、現状のラインナップは下記のとおりとなる。
●G350d|1251万円|286psの3L、直6ディーゼルターボを搭載するエントリーグレード。
●G400d|1289万円|330psの3L、直6ディーゼルターボを搭載する新グレード。G350dよりオプション装備の幅が広い。
●G550|1705万円|422psのガソリン4L、V8ツインターボ搭載の上級グレード
●メルセデスAMG G63|2218万円|585psのガソリンガソリン4L、V8ツインターボ搭載の最上級グレード
これらのうちどれがベストかと問われても、このレベルになると「ご予算とお好みに応じてご自由に……」としか言いようがない。
基本的にはG350dでも何かと十分以上であり、「Gマヌファクトゥーア プログラム」が適用されるG400dはさらに魅力的。
そしてお金があるなら、「一番いいやつ」であるG63が当然ながら一番いい。ただしG550は、このなかではいささか中途半端な存在といえるかもしれない。
とはいえ現在、新車のGクラスは圧倒的大人気であるため、新車の納期はひたすら長い。
販売店のパワーや顧客の「順位」みたいなものにより差はあるようだが、納車まではおおむね1年半から3年はかかるため、一見の新規客がおいそれと普通に注文し、普通に1カ月程度で納車されるという状況ではまったくない。
そのため、新車を買う場合は「注文できるものをとりあえず注文し、あとはひたすら気長に待つ」という作戦を採るか、もしくは昔で言う“新古車”を、街の中古車販売店で購入するしかない。
そういった(昔の言葉で言う)新古車は即納となるのが美点だが、その分だけプレミアム価格となっており、G400dマヌファクトゥーアエディションで2000万円以上、G350d AMGラインで1600万円以上のプライスとなるのが一般的だ。
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