ベテランのクルマ好きであれば「ラーダ・ニーヴァ」(LADA NIVA)という名を、なんとなく耳にしたことがあるはずだ。ロシアの自動車メーカーであるアフトヴァズ(ロシア語表記はAftoVAZ)が生産する、小型のクロスカントリーヴィークルである。
この1977年に誕生したニーヴァが、40年以上の月日を経て2024年に「初めて」フルモデルチェンジすることが発表されたのだ。
現在はルノー日産アライアンスの傘下にあるため、ラーダではルノーの最新プラットフォームが用いられるようだ。ロシア生まれの“生きた化石”と呼ばれるこのモデルの中身はどのようなものか、周辺話題を含めて探ってみよう。
文/岩尾信哉、写真/LADA、JEEP、Mercedes-Benz、LAND ROVER、SUZUKI
【画像ギャラリー】ラーダ・ニーヴァのようなモデルチェンジの少ないクルマってどれだ!?
■1977年に誕生したラーダ・ニーヴァ
ラーダ・ニーヴァというモデルは、クロカン四駆好きにとっては我々がイメージするほど特殊ではないのかもしれないが、ロシアという国特有の生活様式やビジネス環境(あえて加えれば政治状況)という要素があってこそ、ここまで生き延びられたといえる。
ラーダはロシア最大の自動車メーカーであるアフトヴァズが展開するブランドだ。
このなかでニーヴァ(正式車名はVAZ2121)は、ロシアがまだ旧ソビエト連邦だった時代の1977年に製造が開始され、デザインを大きく変えることなく今なお作り続けられている。ちなみに、ニーヴァはロシア語で「耕作地」を意味する。
2000年代以降にはいわゆるBRICsとしての経済発展とともに、ロシアには欧州の大手メーカーを中心に、EUや韓国、日本といった自動車メーカーが続々と進出。
たとえばラーダとともにロシアメーカーであるGAZはVWモデルの委託生産を請け負って生産量を増加させて、国として自動車産業を活発化させてきた。他にもUAZは、こちらも超クラシックな外観を与えられたワンボックスバン「2206」や小型CCVの「ハンター」を生産する。
2000年にはアフトヴァズは米ゼネラルモーターズ(GM)と提携して合弁会社を設立、ラーダ・ニーヴァを生産していた(2019年末に提携を解消)。
現在搭載するエンジンがGMの設計品なのはその名残だ。その後、2014年にはルノー日産グループが経営権を取得。このため、現在では同社の他モデルのエンジンは同グループ製となっている。
2020年1月には改良を受けたラーダ4×4をデビューさせたものの、アフトヴァズは間髪を容れずに2021年に入って“ニーヴァ”の名を復活させ、さらに“レジェンド”のサブネームを加えて、正式名称を「ニーヴァ・レジェンド」とした。
ラーダの最新情報としては、傘下にあるルノー日産アライアンスが2021年1月に発表した経営戦略の内容によれば、同グループとして主に東ヨーロッパ市場をカバーするダチア/ラーダ用として、FWDベースの同アライアンスのCMF-Bプラットフォームを採用する計画だ。
CMF-Bプラットフォームといえば、2代目ジューク(日本未発売)、キックス、3代目ノート、5代目ルノークリオ(日本名ルーテシア)、2代目ルノーキャプチャーが採用している。つまり日産&ルノーの最新プラットフォームを採用し、化石から最先端のクルマに生まれ変わるということだ。
アフトヴァズはラーダ・ブランドとして、2025年までに4種類のニューモデルを導入、前述のように2024年には初のフルモデルチェンジとなる新型のニーヴァを発表予定となっている。
コメント
コメントの使い方