名門クラウンが大苦戦 歴代となにが違う? 15代目の失速と今後とは

■当初は月間7000台オーバーの大セールスを記録した

リアシートの手すりなどクラウンの伝統は残しつつの変化だった
リアシートの手すりなどクラウンの伝統は残しつつの変化だった

 デビューした6月は4216台の販売にとどまったが、生産が軌道に乗った7月には7000台を超え、販売ランキングの10位に食い込んでいる。

 その後も安定して売れ、7月から12月までの半年で平均6330台を販売した。好調にスタートを切ったように見えたが、徐々に失速し、19年5月にはランキング30位に下がり、販売台数は2461台まで落ち込んだ。

 発売から2年目には月平均で2500台レベルになり、トップ30に顔を出さない月も多くなる。20年度(20年4月〜21年3月)は新型コロナウイルスが蔓延したこともあり、12カ月の合計は2万1858台にとどまった。月平均の販売台数は2000台に達していない。

クラウンはコンスタントに売れ続けてきたドル箱車種でもあるのだが近年は苦戦を強いられていた(写真は14代目クラウン)
クラウンはコンスタントに売れ続けてきたドル箱車種でもあるのだが近年は苦戦を強いられていた(写真は14代目クラウン)

 21年になると、セールス氏の努力などが功を奏し、ちょっと盛り返した。だが、歴代クラウンのような勢いはない。販売が低空飛行だからか、次期クラウンはSUVになるのではないか、という噂までも囁かれるようになっている。

■盟友マークXの消滅と新デザインでクラウンは売れなくなった!?

マークXとの相乗効果もありお買い得感が際立っていたクラウン
マークXとの相乗効果もありお買い得感が際立っていたクラウン

 販売が低迷している理由は、いくつか考えられる。

 ひとつは販売価格だ。これまでクラウンとマークXはコストパフォーマンスが飛び抜けて高く、多くの人が買い得と感じた。が、今のクラウンは、廉価グレードでも500万円近くからのスタートとなり、ライバルが多くなっている。

 日本車は身内のレクサスやミライなど、それほど多くない。だが、上級グレードは700万円を超えているから、メルセデス・ベンツやBMW、アウディ、ボルボなどのヨーロッパ勢と競合する。

 輸入車はクラウンより個性豊かだ。最近は走りの装備だけでなく、快適装備や安全装備も充実している。また、ディーゼルターボやプラグインハイブリッド、上質なV型8気筒エンジンを設定するなど、クラウンにはない魅力を持つクルマも多い。

 注目度と存在感は高いから、買い替えのときに輸入車に流れてしまうことも少なくないようだ。

クラウンのスタイリングはコンサバティブなセダンではなくなった。まるでハッチバックかのようなデザインに違和感を覚える人も多い
クラウンのスタイリングはコンサバティブなセダンではなくなった。まるでハッチバックかのようなデザインに違和感を覚える人も多い

 もうひとつは若返りを図ったデザインにあるように思う。

 サイドビューは伸びやかでスポーティだ。が、クラウンらしさが薄く、先代までのような高級車らしい風格や押しの強さが感じられないのである。歴代のクラウンは、意識してコンサバの味わいも盛り込みながら半歩だけ新しいチャレンジを入れた。

 先代はイナズマグリルでオーナーを驚かせたし、12代目のゼロクラウンは果敢にスラントノーズと異形ヘッドライトに挑んだ。それでもバランス感覚は絶妙で、上手に新しさを表現している。だからファンは乗り換えた。

 が、現行クラウンは、デザインバランスが悪い。サイドビューは4ライトウインドーのドシッとした落ち着きを感じさせるほうがクラウン好きは喜ぶだろう。また、フロントマスクとリアビューも風格と威厳を感じない。

 若々しいし、スポーティな印象を与えるが、前後の印象がチグハグだ。リアビュー、とくに細身のリアコンビネーションランプは格下のイメージで、クラウンを乗り継いでいる人や年配のオーナーは違和感を覚えた。ここは定石通り、慣れ親しんだ角型デザインのほうが親しみやかったはずである。

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