令和になってもなぜヘッドライトは黄ばむのか? 最新ヘッドライト復活法


 街中で時折、ヘッドライトが激しく黄ばんでいるクルマを見かけることがある。たとえば、いかにもほったらかしにされていたような(レンタカーなのか“土日運行のみ”なのかはわからないが)初代トヨタヴィッツなど、生産から10年をはるかに超えたようなクルマが駐車場などで停まっていることがある。

 あまり走らせず、手入れが行き届かなかった結果だろうが、なぜヘッドライトカバー(レンズ)はなぜ黄ばんだり、白く濁ってしまうのだろうか。メインテナンス方法を含めて探ってみた。

文/岩尾信哉
写真/ベストカー編集部 Adobe Stock、トビラ写真(Amnatdpp Adobe Stcok)

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■ポリカーボネート製ヘッドライトカバーが黄ばんでしまう

初代プリウスのヘッドライト。青空駐車場に停めてなにもしないとここまでひどくなる

 自動車の部品といってもいろいろあるが、ヘッドライトカバーに使われる材質はポリカーボネート(polycarbonate:以下PC)と呼ばれるプラスチック、詳しく言えばアクリル系の熱可塑性(熱を加えると柔らかくなる性質)樹脂だ。

 PCは樹脂素材としてガラス材と同等の透明度を備え、自動車部品として重要な耐衝撃性と耐久性の高さを誇り、コスト面でも加工性(加熱成形が容易)が高いという長所がある。

 安全面でも衝撃によって破損した際に破片が飛散しにくいことは、衝突事故などの際にガラス材に比べて断然優位となる。ここまで説明すればガラスからの置き換えが進んだことが想像できる。

 樹脂製ヘッドライトカバーが量産車に広く使われ始めたのは1980年代から。1984(昭和59)年に初代トヨタソアラに、世界初の「オール樹脂製異形ヘッドランプ」(小糸製作所製)が採用され、それまでのガラス製に比べ、軽量かつ加工しやすく、耐擦傷性(傷の付きにくさ)に優れた樹脂製カバーが一気に量産車に使われ始めた。

 ただし、PCには弱点もあって、紫外線や内部の電球が発する熱に対して弱く、傷が付きやすい性質をもつ。たとえば、家屋の脇のカーポート(駐車スペース)の屋根にもポリカーボネートが使われていることが多く、使用条件が厳しいので寿命は10~15年程度とされている。

 さすがにヘッドライトカバーはこれを上回る耐久性を備えるとはいえ、某部品メーカーに訊けば「使用条件によるが、10年以下でも黄ばみなどが生じる場合もある」とのこと。

 さらに言えば「日の差し方によっても劣化の状況は変わってくる」のだから、使用条件によっては気を遣う必要があるということだ。

■ヘッドライトを守る「ハードコート」

これだけ白くくすんでしまったヘッドライトがクリーナーなどで蘇る(art_rich@Adobe Stock)

 いかにヘッドライトカバー用の材料として美点だらけのPCであっても、黄ばみ(黄変)や曇り(白化あるいは白濁)の原因は、紫外線によってPCなどの樹脂素材が変色するということだ。一方、輸入車ではクラッキングと呼ばれる蜘蛛の巣状の細かいヒビ割れが生じることが見られる。

 このヘッドライトカバー独特の弱点を補うために表面などを保護するために、樹脂製カバーに製造時に塗布されるのが、ハードコートと呼ばれる素材だ、劣化防止のための保護材としての熱硬化性の耐候塗料(劣化防止材)を吹き付けることで、変色を抑える効果を与えて、ヘッドライトカバーの透過性と耐候性を維持している。

 ちなみに、ヘッドライトカバーのコーティング剤には、ガラス系とシリコン系やフッ素系の非ガラス系がある。現在の主流はガラス系のコーティング剤で、非ガラス系コーティング剤に比べて持続性が高いといわれている。なお、塗布時に形成されるハードコートの層は5~10μm(マイクロメートル:1000分の1mm)とされている。

 当然ながら、材質や加工方法は年々進化しており、寿命などを含めた耐久性が向上している。確かに1990年代以降の車種では頻繁にヘッドライトカバーが変色しているのを見つけにくいことも実感でき、日本車の場合、通常3~5年はクリアな状態を保つことができるとされている。

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