新車ディーラーが取扱・装着作業をおこなう用品は、基本的に車種専用に作られた純正部品や系列のブランドが出す用品が多い。
しかし、時々ユーザーからは「取り付けできないって言われたけれど、無理を言ってつけてもらった」、「カタログにはない社外品だけれど、このお店は取り付けてくれるよ」という話が漏れ聞こえてくる。
販売店に勤めていた筆者も過去に、通常は取り扱わない、裏メニューの対応をしたことがある。そこで本稿では、知る人ぞ知る、販売店での裏メニュー的オプションの実例を紹介していく。
文/佐々木亘
写真/TOYOTA、Adobe Stock(トビラ写真=Elena-Verba-Stock.Adobe)
【画像ギャラリー】部品としては非対応、でもやっぱり『人と人』だから……あるよ! 通常では取り扱わない裏メニュー
■スイフトスポーツ用のマッドフラップをノーマルスイフトへ
これは筆者が大学生の時に、実際に販売店へオーダーした内容だ。当時2代目(ZC11S型)のスイフトを中古で購入した筆者、スイフトスポーツは高くて買えなかった。
ディーラーオプションカタログには、スイフトスポーツ専用のオプションが多数あり、筆者が取り付けたかったのは、スイスポ専用のマッドフラップである。
リアバンパー形状が異なるため、取り付けはスイフトスポーツのみとカタログに書かれていたが、当時の営業マンと工場長に頼み込み、取り付けてもらえることになった。
初めての試みなので、工賃がプラスアルファかかるかもしれない点と、加工が必要になると思うので、ホイールハウス内に穴あけ加工をすることを了承し、作業を頼んだ。
完成後、工場長は「大した加工も何もなく、普通に付きました。ノーマルにも問題なくいけるんですね」と笑顔で話してくれた。専用パーツが、ノーマルグレードにも装着できることを知り、嬉しそうな工場長の姿を今でも思い出す。筆者がお願いした、裏メニューのひとつである。
■社外品オーバーフェンダー装着で構造変更届が必要に
筆者が営業マン時代、新車でSUVを受注し、納車までに社外品のエアロパーツやホイール、マフラーなどの交換をお願いされたことがある。カスタマイズが好きなオーナーであり、整備側と話をしながら、社外品の取り付け作業を受け付けた。
慣れない社外品の装着は困難を極めたが、何とか完成し、納車の段取りを組みかけた時、車両に問題が見つかる。原因は、装着依頼を受けたオーバーフェンダーだった。
製品の説明書上は車検対応の片側1cm以下に収まっているはずが、実際に装着して全幅を測定すると取り付け前より2cm以上拡幅している。
こうなると構造変更の届け出が必要だ。新車で3年ある車検期間も、構造変更により2年になる。オーナーに説明し、了承してもらった結果、オーダーどおりパーツ類をすべて装着し、構造変更届をおこなったうえで、納車へ至った。
付き合いが長く、信頼関係があるオーナーとのやり取りでなかったら、大きなトラブルになっていたケースだろう。販売店が裏メニューを引き受ける際には、問題が起きた時のリスクを考える必要も出てくる。
コメント
コメントの使い方