現在、多くのクルマは、世界中をターゲットに開発・販売が行われている。なかには、クラウンのような国内専売モデルもあるが、その数は年々少なくなってきた。
日本国内専用モデルが存在すれば、逆に海外専売モデルも存在する。日本の自動車メーカー「トヨタ」でも、すべてのモデルを日本で取り扱っているわけではない。国内で販売していないモデルが相当数あることをご存じだろうか。
本稿では、日本で売ったら意外と需要があるかもしれない、トヨタの海外専売モデルを紹介していく。
文/佐々木亘、写真/TOYOTA
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■日本にない超大型ミニバン/シエナ
1997年にブレビア(エスティマ)の後継車種として、北米市場に投入されたのがシエナだ。2020年にモデルチェンジし、現行型は4代目となる。ピックアップトラックのタコマやタンドラと並び、北米市場で人気のあるトヨタ車のひとつだ。
シエナはラージサイズミニバンだ。ボディサイズは全長5085mm、全幅1986mmとかなり大きいが、全高は1750mmに抑えられ、ステーションワゴンのような精悍さもある。ワンボックスタイプのミニバンにはないスタイリッシュさを、シエナからは感じ取ることができるのだ。
筆者は以前、トヨタ販売店の社員旅行でハワイに行ったことがある。シエナはハワイでは、タクシーとして使われていて、その姿を多く見ることができた。シエナの姿を見て、トヨタ販売店社員は口々に、「シエナが日本であったら、絶対買うのに」とこぼす。
当時は、エスティマやアイシス、ノア・ヴォクシーにアルファード・ヴェルファイアなど、人気ミニバンが勢ぞろいしていた時代だ。それでもシエナは、トヨタ販売店の社員から「絶対買う」という言葉を引き出した。
Multi Purpose Vehicle(MPV)として、非常に完成度の高い一台であり、日本でもファンの多いシエナ。エスティマが姿を消した今、是非とも日本で売ってほしい、海外専売モデルのうちの一台だ。
■かつての「サーフ」後継/4ランナー
現在、ハイラックスといえばピックアップトラックを思い浮かべるが、15年ほど前にハイラックスといえば、「サーフ」が真っ先に思い浮かぶだろう。4ランナーは海外版のハイラックスサーフである。日本では途絶えたハイラックスサーフの系譜は、しっかりと海外で生き続けているのだ。
キャラクターとしてはRAV4に近いが、そのボディサイズは、全長4832mm×全幅1925mm×全高1796mm、さすが海外専売といったところか。ラダーフレームを使用した、堅牢な車体が、オフロード走行までも楽にこなす。
ボディサイズは、さながらランクルに近いが、アメリカでの販売価格はランクルの半分程度とリーズナブル。デカくて安い本格4WDは、日本でも一定数の需要を見込めるはずだ。
筆者は、プラドよりも4ランナーの方が、ランクルの弟分としてふさわしいと感じる。販売店からも、ハイラックスサーフ復活を希望する声は、今も多い。
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