皆さん、こんにちは。自動車ライターの伊藤梓です。数あるグランプリの中でも、F1ファンが特別な思いを持って観戦するレースのひとつが、このモナコGPだと思います。
モナコGPは、ル・マン24時間レース、インディ500と共に「世界三大レース」に位置付けられる、格式高いレースです。角田裕毅選手にとっては、ポルトガルGPに続いて、初めて走るコース。
このモンテカルロは、道幅がとても狭く、オーバーテイクの難易度も高い市街地コースですが、はたして、どんなレースになったのでしょうか?
すでにフランスGPも終わっているのですが、あの大興奮のモナコGPをいま、あえて振り返ります。
文、イラスト/伊藤梓、写真/HONDA
【画像ギャラリー】マクラーレン・ホンダのアイルトン・セナ以来!! ホンダ29年ぶりのモナコ勝利!!
■レースは「予選」と「決勝」だけじゃない
レースといえば、普通は「予選」と「決勝」のイメージが強いと思いますが、実は「フリー走行」からレースは始まっています(厳密に言えば、もっと前の準備段階からとっくに始まっていると思いますが……)。
角田選手にとって、モナコは初めてのコースなので、チームから「まずはフリー走行でしっかり周回を重ねるように」と、口酸っぱく言われた様子。
フリー走行1回目(FP1)では、しっかり走り込み、フェルスタッペンと並ぶトップ周回数を記録し、タイムも9番手と順調です。
そして、続くフリー走行2回目(FP2)。角田選手はミディアムタイヤでピットアウトし、11周を重ねたところでアクシデント発生。リアのグリップを失ってしまい、ガードレールに接触してしまったのです。
そのまま自走でピットへ戻ったので、「壊れたのはリアウィングだけかな?」と思ったものの、サスペンションまでダメージが及んでいたようで、そのままFP2を終えることになってしまいました。
「予選までマシンが直れば大丈夫でしょ」と思う方もいるかもしれませんが、実は今回、このクラッシュが決勝まで尾を引いたのです……。
何度も繰り返しますが、モナコは、角田選手にとって初めてのサーキット。そして、このコースは、ほんの小さなミスでもクラッシュしてしまう程、針に糸を通すようなドライビングが求められます。
つまり、モナコの経験がない角田選手は、フリー走行で感覚を掴み切れなければ、予選で上に行くのは難しいのです。角田選手とチームにとって、FP2を11周で終えてしまったことは、想像以上の痛手となりました。
コメント
コメントの使い方