■初めてのモナコで奮闘する角田選手
フリー走行の分を取り返すためか、予選が始まると、角田選手は、真っ先にコースインして、早めのアタックを仕掛けます。1本目では、Q1のノックアウトゾーンぎりぎりのところに、なんとかランクイン。
しかし、重要なのは、多くのドライバーがタイムアップする2本目。角田選手は、2本目で約0.8秒もタイムを縮めてきました。「これはいけるかも!」と思ったのですが、タイミングモニターを見ていると、角田選手の前にどんどん他のドライバーの名前が飛び込んできます。
最終的には、残念ながらノックアウトゾーンの16位に転落。Q1を突破した15位のベッテルとのタイム差は、なんと0.018秒。角田選手は、周を重ねるごとに速くなっていたので、やはり悔やまれるのがFP2のリタイヤ。ここをしっかり走れていれば、もしかしたらQ2に進出できたかもしれません。
最終的な順位を確認すると、フェラーリ勢が素晴らしいラップを刻み、ルクレールが1番手、サインツが5番手につけています。そして、ホンダPU勢の期待の星であるフェルスタッペンは、2番手。
残念なのは、ルクレールがクラッシュしてしまい、Q3が赤旗終了になったこと。その周でアタックに入っていたフェルスタッペンは、セクター1でファステストタイムを記録していたものの、赤旗のため、タイムを出すことができませんでした。
そして、絶対王者のハミルトンは 、というと、なんと7番手からのスタート! 特にトラブルもなく、この順位だったことには驚きました。レッドブルにとっては、ポイントを重ねるために、これ以上ないチャンス到来です。
■2年ぶり開催のモナコGPは波乱の幕開け
それぞれの思いを抱えながら迎えた決勝日。モナコGPでは、コロナの陰性証明を受けた7500人の観客が入りました。スタンドに人がいるだけで、F1らしい華やかな雰囲気が戻ったように感じます。
ポールポジションを獲ったルクレールは、実はモナコ出身。自宅からルクレールの横断幕を掲げる人たちもいて、レースへの期待はさらに高まっています。ところが、いよいよ決勝が始まろうという時、ルクレールの悲痛な無線が入ります。
「No. No. No. Nooo…みんな、ギアボックスだ…」
予選のクラッシュ後、直ったかに思えたルクレールのマシンでしたが、(ルクレールはギアボックスだと言いましたが、正しくは)左側のドライブシャフトが故障しており 、なんとルクレールはグリッドへ並ぶこともできずリタイヤ……。
驚愕の幕開けになってしまったモナコGP。哀しくも1番グリッドには空白ができてしまったため、フェルスタッペンは、事実上トップからのスタートとなりました。
ここは、簡単にはオーバーテイクできないモンテカルロ。そして、目下のライバルであるハミルトンは7番グリッドスタート。フェルスタッペンにとっては、大チャンスです。
いよいよグリーンフラッグが振られ、シグナルが点灯。ブラックアウトと同時に、3番グリッドにいたボッタスが見事なスタートを決めました。フェルスタッペンは、すぐにそれを察知し、上手くブロックラインを取ります。
レースは、そのまま混乱することなく、フェルスタッペンが先導する形になりました。後方に目を移すと、16番グリッドからスタートした角田選手は、17番にランクダウン。
11位以下のドライバーが、ほぼミディアムタイヤでスタートする中、角田選手はハードタイヤをチョイス。ミディアムタイヤより温まりの遅いハードタイヤは、序盤から厳しい戦いを強いられます。
そして、たとえペースが上がってきても、抜けないのがこのモナコ。マシン性能では勝っているはずのウィリアムズのニコラス・ラティフィを抜きあぐねて、そのまま周回を重ねることになってしまいました。
角田選手が悪戦苦闘しているように、他のドライバーもオーバーテイクできずにイライラしている様子。
ハミルトンは、ピット作業を遅らせ、前方にいるガスリーへのオーバーカットを狙いましたが、作戦が上手く噛み合わず、ガスリーだけでなく、なんとベッテルの先行も許してしまいます。
いつもは冷静なハミルトンですが、今回はさすがに混乱したようで、「なぜ、ベッテルとガスリーが前にいるんだ?! 理解できない!」と、何度もチームに無線を入れていました。
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