梅雨を含めた雨の日や冬場に起きやすいガラスの曇りは、視界確保はクルマの安全運転の一歩なだけに非常に危険なこともあり、当記事ではガラスが曇る原因と対策を解説していく。
文/永田恵一、写真/Adobe Stock(トビラ写真=tache@adobe stock)
【画像ギャラリー】曇りガラスの向こうは風の街……クリアな視界で外を見よう!! ガラスの曇りの原因と対策
■ガラスが曇る原因
1)結露
ガラスが曇る最大の原因は「飽和水蒸気量」と呼ばれる空気が溜めることのできる水蒸気の限界量を超え、空気中の水蒸気が凝結して水滴になる結露である。雨の日は空気中の水蒸気が増えることで結露が起きやすいので、ガラスも曇りやすいのだ。
2)車内と車外の温度差
飽和水蒸気量は温度が低いほど限界量が低いこともあり、特に冬場は車外が冷たい外気と走行風で冷やされるのに対し、車内はヒーターで温かいため、車外側が冷たいガラスは水蒸気が凝結しやすいのでガラスも曇りやすい。
この2つを頭に置くと、例えば「雨の冬場に風呂上がりの水蒸気をタップリ含んだ人がフル乗車する」ということがあったら、それはガラスが曇りやすい最悪の条件である。
3)水アカを含むガラスの汚れ
ガラスの汚れは水分を吸着するため、ガラスが曇る原因にもなる。
■ガラスの曇り対策
1)窓を開ける
車内と車外の温度差をなくすという意味で、窓を開けるのは非常に有効だ。ただ、雨の日だと雨量やドアバイザーの有無によるところもあるにせよ、非現実的ではある。
その代わり効果は確実で、筆者は後述するエアコン(クーラーというか除湿機能)がない競技車両を雨の日に移動中、ガラスが激しく曇り地獄のような状態になったことがあり、やむを得ず窓を開けてしばらく走りしのいだことがある。
そのため「エアコンなしのクルマで一番困るのは暑い寒いよりも、エアコンで曇りが取れないこと(ヒーターはエンジンが付いているクルマでヒーターのための冷却水を回すヒーターコアも外していなければ使える)」と言う人がいるのもよく分かる。
2)エアコンのデフフロスト(曇り取り機能)を使う
現実的にはこれが最大の曇りを取る対策で、具体的にはエアコンで除湿された空気をガラスに当て、乾燥させることで曇りが取れる。
デフロストの使い方はオートエアコンならデフロストのスイッチをオンにすると、除湿機能(ACか氷などのマーク)がオンになるとともにガラスに送風されるので曇りが取れる。マニュアルエアコンの場合は送風方向をデフロストの位置(デフロストのマーク)にして、除湿機能もオンにすればいい。
なお、内気循環と外気導入は雨の日は湿度が高いので水蒸気が車内に入るのを防ぐため曇りやすい、曇りが取れにくいときには断続的に内気循環にする方がいいこともあるが、車内の換気などもあるので外気導入を原則に考えよう。
また、リアウィンドウの曇りはガラスの部分がビニールになるソフトトップのオープンカーなど以外、付いていないクルマはほとんどないデフォッカー(熱線)をオンにして除去しよう。
ここからは余談になるが、熱線といえば男らしくエアコンのないケーターハムセブンのウインドシールド付(ケーターハムセブンはウインドシールドやソフトトップ、ビニール製のドアがオプションのモデルもある)は、ウインドシールドに曇り対策のための熱線が貼り巡っており、ガラスが曇った際に使う。
そのため例としてはGRヤリスの競技ベースとなるRCの寒冷地仕様くらいしか浮かばないが、「エアコンレスだけどフロントガラスに熱線が入っている」というクルマは熱線で曇りを取ることができる。
また温度差が大きいトンネルで起きやすいドアミラーの曇りもドアミラーに熱線が入っていると除去できるので、その際には曇る前にドアミラーの熱線をオンにしておくと万全だ。
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