ティアナを再現してきたノートオーラ
ノートオーラが狙うポジションは、「CセグメントやDセグメントの国産車に乗っていたユーザーのダウンサイズ先」だ。
ノートオーラ開発マーケティング担当者によると、これらのダウンサイザーの多くは、プリウスや輸入コンパクトカーへ流れることが多かったそうだ。
ノートオーラは、ライバルである輸入コンパクトカーよりもひと回り大きなTFT液晶メーターに加えて、ダッシュボードやセンターコンソールの木目調トリム、ツイード調織物で覆ったダッシュボードなど、初代ティアナにも通じる「和モダン」なテイストに近いものを感じる。
出来がいいだけにさらに欲しくなってしまうのだが、シート素材は初代ティアナにも使われた手触りの良い「パールスエード」を使用するなど、さらに踏み込んでほしい、と思ってしまったくらいだ(非常に汚れやすい素材のためメンテナンスは大変なのは承知している)。
トヨタのクラウンやハリアー、ホンダのアコード、日産のスカイラインなど、いわゆる「高級車」といわれることが多いクルマのインテリアは、一見「豪華」に見えるが、どれも同じようなインテリアで、当たり外れなくクオリティは高い反面、インパクトという面では弱い。
「ちょっといいクルマに乗りたい、でも大きなクルマはもう嫌」と考えるダウンサイザーにとって、このノートオーラのインテリアは新鮮で、魅力的に見えるはずだ。初代ティアナが、「和モダンなクルマの答え」とはいいきれないが、ノートオーラはティアナを再現してきた、といっていいだろう。
ダウンサイザーを狙ったノートオーラ
「流行は繰り返す」とはいうが、ファッション業界の場合 「デザインの流行は20年周期で繰り返す」という。商品開発するメーカーの中心人物たちが、若いころに憧れていたものを思い出しながら、最先端の情報とテクニックを織り交ぜて、新たな商品を仕掛けているからだ。
そしてもうひとつが、トレンドの中心となる若者たちにとって、そうした商品は初見となり、斬新に映るから。
そう考えれば、初代ティアナが発売されたころ若者だった方たちにとって、今回のノートオーラのコンセプトは魅力的に映るかもしれない。日本文化の美しさを感じさせる、落ち着きのある上品な高級感、というのは、まさに大人向けのコンセプトであり、爆発的な人気とはならないであろうが、ダウンサイザーを狙ったノートオーラには、ぴったりだと思う。
しかし「ちょっと和テイストを織り込みました」というレベルでは、かえってダサくなるだけ。日本文化の奥深さが感じられるものでないと意味がない。また、20代~30代の若者にとっては、退屈に映るものかもしれない。
そのため、ノートオーラのような、ターゲットの年齢層の高いクルマや、高級車に限られるであろうが、「和モダン」車は一定の支持を得て、今後も登場するのでは、と考えられる。
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