■トヨタはGRブランドにモータースポーツと量産スポーツカーを集約
次にトヨタだが、「もっといいモビリティ社会へ」を合言葉に、環境対応車からスポーツカーまでフルラインアップ化を強調している。
そのうえで、モータースポーツを環境とスポーツの融合の場として捉え、FIA世界耐久選手権(WEC)参戦マシンをベースとした量産ス―パ―スポーツ、また世界ラリー選手権(WRC)参戦から技術的にフィードバックしたGRヤリスなど、”本物系”スポーツカーの存在感が強い。
またブランド戦略としては、ス―パーGTでスープラという名称を活用している。
見方を変えると、モータースポーツ撤退により量産スポーツカーが一気にモデル縮小する危険性を秘めているといえる。
さらに、トヨタのスポーツカー存続のキモは、モータースポーツでも開発が始まった水素エンジンであり、86/BRZもこの領域での生き残りが考えられる。
さらに、EVについては新規bZシリーズもあるように、トヨタはスポーツカー生き残りに対するさまざまな引出しがある。
■ホンダはEV/FCV化のなかでスポーツカーを模索か、マツダも電動化に舵を切る
モータースポーツといえばホンダだが、F1撤退発表に次いで「2040年までにグローバルで100%EV・FCV」という大目標を掲げており、トヨタ、日産に比べるとスポーツカー存続に対するハードルが高い印象がある。
2021年4月、三部俊宏氏の社長会見の際、筆者を含めた記者らがオンラインでの質疑応答に参加したが、そのなかで三部社長は「EVでも”タイプRのような存在”も考慮する可能性あり」、「ホンダとして参戦に対するしっかりとした理由付けがあれば、電動車レースの参戦を検討する」といった発言があった。
足もとでは、新型シビックタイプRがグローバルで登場するが、これからEV/FCV化を一気に加速させるホンダにとって、これが非電動化の最後のタイプRになる可能性が高い。
そのうえで、本田技術研究所ではNSXを早期に完全EVまたはFCV化する動きや、シビック級またはSUVでの”タイプRのようなハイパフォーマンスEV”に関する基礎研究が加速するだろう。
また、マツダロードスターについては、2021年4月に別件取材で歴代ロードスター主査にロードスターに対する電動化についての意見を聞き、皆さん個人的な思いは語るもマツダとして正式な方向性は示していない。
このように、日系スポーツカーが今後、どのタイミングで、どのように商品性や技術面で大きく変化するのかは、現時点(2021年6月)でははっきりと予測することは難しい(マツダは6月18日に開催した中期技術・商品方針説明会で2030年までに100%電動化することを発表)。
今後の市場動向を注視していきたい。
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