■その時々にいい人たちと巡り合えたのが大きかった
19歳の時、SRSに入校できました。自分で貯めたお金と、親もいろいろ協力してお金を集めてくれたんです。親には感謝しかありません。親だけじゃない。本当にいろんな人に助けられました。このレーシングスーツの腰から下に張ってあるワッペンは、そのとき助けてくれたスポンサーさんです。
スポンサーになってくれた人との出会いはたまたまの巡り合わせです。レンタルFJで走っていた時に『ちょっと教えて』と頼まれたとか、レース会場でたまたま出会った人と出身地が一緒だったとか、そういうことがきっかけで『じゃあ応援してあげるよ』って人がどんどん増えてくれた。
僕自身、困っていたから必死だったのかもしれないですけど、巡り会った人たちが本当にいい人たちばかりだったってすごく思います。
それでもくじけそうになったことですか? 何回もありました。SRSでスカラシップに落ちて『この先、道ないよ』って言われた時もけっこう落ち込みましたし。でもその時も武藤英紀さんはじめスクール関係者の皆さんが助けてくれて、翌年のF4のシートを用意してくれた。参戦費用をスポンサードしてくれる人もいた。
この人たちがいなかったら僕はレースの土俵にさえ立てなかった。一瞬挫折しても、その時々に手を差し伸べてくれる人がいてくれたのは、本当に大きかったです。
そのF4で1勝しかできなくて、でも翌年ホンダの育成枠の選手としてFIA F4に出られたのも、誰かが海外に行くことになった替わりに、たまたまそこにいた僕が乗れることになったからです。このSFもそうなんですけど、そういった巡り合わせを引き寄せる運はすごくあると思います。
もちろん、だからこそ結果を残さなければならないプレッシャーはあります。いま乗っているレッドブルカラーも重く感じてます。でも、空回りしても何も生まれない。
僕は才能があふれててトントンっていくタイプじゃないと思ってます。初めて走るコースでも、パッと乗ってパッと速いようにしなきゃいけないんですけど、ステップバイステップというか、一歩一歩進んで行く。そこが弱点でもあるけれど、自分がいままで感じて経験してきたことのすべてを活かせるようにしないとと思ってます。
なのでプレッシャーは感じてるけれど、それに押しつぶされてどうこうというのは、いまのところないです。
■強く、速く、チャンピオンを取れるドライバーになりたい
今後の目標ですか? まずSFで勝つことが最優先ですが、その前に表彰台に立たないと。予選でQ3に上がれるのも、野尻(智紀)さんのデータも活かしてチーム力で底上げしてくれてるから。クルマに助けられてQ3まで上がってる、今回なんか特にそうだと思ってます。
自分自身の実力を上げて、強い、速い、チャンピオンを取れるドライバーになりたい。もっと大きな目標としては、佐藤琢磨さんみたいに引き出しの多いドライバーになりたいですね。佐藤さんはもうスゴイ!のひと言です。
レースを始めた頃はF1F1だったんですけど、武藤さんにアメリカやインディの話をきいて、その面白さを知ってから僕のなかでインディへの興味が広がりました。チャンスがあったらアメリカに行ってみたいし、佐藤さんと同じレースにも出てみたい。
そのためにもいまいろんな経験をして、着実に一歩一歩成長していきたいです。
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