日産車をベースに、コンプリートカーや福祉車両などを手掛けるオーテックジャパン。その歴史は、時代の一歩先を行く斬新なモデルたちで彩られている。
そして、オーテックジャパンは、今やファミリーカーやアウトドア用車の定番のひとつとなったミニバンでも、独自のコンプリートカーを送り出してきた。
今回は、オーテックジャパンが初期に手掛けた個性派ミニバンたちを紹介していこう。
文/大音安弘
写真/オーテックジャパン
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■キャラバン フウライボウ(1988年登場)
まだワゴンの王道がワンボックスだったバブル期は、まさにRVブームの真っ只中。そこでオーテックジャパンは、3代目キャラバンの乗用ワゴン「キャラバン コーチ」をベースとしたアウトドア志向のモデルを開発。それが「キャラバン コーチ フウライボウ」だ。
その風変わりなネーミングは、“風来坊”に由来し、自由気ままに旅する大人の相棒を意味していたようだ。特徴的だったのが、当時、RVの定番アイテムだったカンガルーバンパーを取り入れたフロントマスク。
オーバーライダー組み込み式グリルガードには、シビエ製の大型フォグランプを備えたワイルドな出で立ちであった。
この特徴的なフロントマスクは全車に共通するが、年式によりベースグレードと仕様の違いがあり、シンプルな仕様から豪華仕様のものまでが存在した。またシリーズ共通点としては、2.7L 4気筒OHVディーゼルターボエンジン搭載の4速AT車で、8人乗り仕様。駆動方式は、2WDと4WD車が選べた。また姉妹車となる「ホーミーコーチ」にもフウライボウは設定されていた。
■セレナ キタキツネ(1994年登場)
国産ミニバンの先駆けのひとつである、1991年登場の初代セレナのマイナーチェンジで、新設定されたのが、1994年登場の「キタキツネ」だ。そのキャッチフレーズは、「キタキツネと遊ぼう」とし、ボディサイドとテールゲートには、キタキツネのキャラクターが描かれた専用デカールが装着された。
その愛らしいデザインから分かるように、ファミリーをターゲットとしたRVで、鮮やかな柄の専用シートは撥水処理を施すなど、実用性も高めていた。特徴のひとつである力強いフロントグリルガードは、非装着車もあった。
メカニズムは、2.0Lの4気筒DOHCを搭載したFRで、4WDの選択も可能。当時のニーズから、4速ATだけでなく5速MTも選択できた。
ユニークなのが、4WD車に設定された「雪ん子ぱっく」。その名のとおり、降雪地でも元気に駆け回れる仕様で、ヒーターミラーやフロントシートヒーター、スタッドレスタイヤを装着。さらにサイドデカールも「雪ん子」仕様とするこだりようであった。
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