カローラスポーツはスポーティーな先祖モデルたちを超えたのか

■走りを考えた数々の工夫

MT車に搭載されたi-MTなど、カローラスポーツには気軽に走りを楽しめる様々な工夫が凝らされている
MT車に搭載されたi-MTなど、カローラスポーツには気軽に走りを楽しめる様々な工夫が凝らされている

 パワートレインは2つを用意した。1つはC-HRから譲り受けた1.8Lのアトキンソンサイクル直列4気筒エンジンにモーターのハイブリッドシステム、THSIIだ。もう1機種は1.2L直列4気筒DOHC直噴ターボである。

 ハイブリッド車は燃費がいいだけでなく快適性も高い。だが、一世を風靡したレビンの直系と考えるなら、チョイスするのは直噴ターボ搭載車だろう。販売の主役は10速モードを持つCVTになっている。が、レビンに思いをはせる人はシフトダウン時に自動でブリッピングを行う6速iMTを選ぶはずだ。

 1.2Lの直噴ターボは、レギュラーガソリン仕様なのが嬉しい。平坦路では不満のない実力だが、ターボが過給する前の低回転域ではパンチ力不足と感じた。応答レスポンスも今一歩と感じる。

 だが、2000回転を超えてからはターボの後押しによって力強い加速を楽しむことができる。10速CVTでもパドルを使って積極的に変速を行えば、気持ちいい加速と減速を引き出すことが可能だ。

 CVTより格段に楽しいのは、シフトダウン時に回転合わせするブリッピング機能やエンストを防ぐ発進アシストなどを加えた6速MTのi-MT搭載車である。スポーツモードとスポーツ+モードをチョイスすれば上手に回転を合わせ、ギクシャクとした動きにならず変速できた。

 クラッチ操作は軽く、スッと軽やかに変速できる。気難しいクラッチミートを補助してくれるアンチストール機能もあるから、エンストに悩まされることは大きく減った。これも嬉しいところだ。

 とはいえ、AE86型カローラレビンに搭載された1.6Lの4A-GEU型DOHCエンジンほど高回転は気持ちよくない。この時代のレビンの自然吸気エンジンは7000回転まで軽々と回り切る実力を秘め、加速を重視したローギアードな5速MTと相まって変速するのが楽しいのである。

 その後継となるAE101系レビンでは可変バルブタイミング機構を組み込んだDOHC5バルブエンジンになり、さらに鋭い切れ味を手に入れた。回していくと快音を奏でるなど、五感に訴える熱い鼓動がドライバーに伝わってくる。この快感もカローラスポーツには望めないものだ。

■肩肘張らずに走りを楽しめる

オプション設定の電子制御ダンパー、AVSを装備したカローラスポーツはスポーツ走行も気軽にこなせる
オプション設定の電子制御ダンパー、AVSを装備したカローラスポーツはスポーツ走行も気軽にこなせる

 大きな差を感じさせたのはハンドリングである。オプション設定の電子制御ダンパー、AVSを装備したカローラスポーツは軽快なハンドリングを身につけ、意のままの走りを楽しむことができた。強靭なシャシー性能と最新設計のダンパーによる懐の深い走りは大きな魅力だ。

 荒れた路面でも足がしなやかに動き、コーナーではロールの発生が自然だし、リアの接地フィールもいい。ステアリングを切り込むと軽やかに向きが変わる。

 とくにAVS装着車はスポーティ感だけでなく、コントロールできる領域も広い。タイトコーナーでも狙ったラインに無理なく乗せることが可能だ。

 スポーツ+モードを選べばサーキット走行も余裕でこなす。18インチタイヤを上手に履きこなし、限界域も驚くほど高いところにある。しかも乗り心地だって悪いと感じさせない。

 後輪駆動のAE86型レビンは、限界そのものは高くはないが、操る楽しさは格別だ。シャシーやサスペンションは古典的だが、テクニックを磨くのには最適だった。軽量だから軽快感が強く、乗りこなせるようになればドリフトも自在だ。

 ワインディングロードからサーキット走行まで、テクニックに応じて走りを楽しむことができる。AE101系レビンではスーパーストラットになって限界コントロール性が向上したし、これに続くAE110系レビンでは軽量化にも挑んだから痛快なコーナリングを披露した。

 カローラスポーツは若いカップルにも似合う2BOXハッチで、走りを最優先したホットハッチではない。イメージ的にはレビンではなく2BOX上級生として登場したカローラFXの系統になる。レビンの血統はトヨタ86に受け継がれているし、FFのホットハッチなら今はGRヤリスだろう。

 肩肘張らず気持ちいい走りを楽しめるのがカローラスポーツのいいところだ。世界をターゲットにしているから絶大な安心感があり、快適性も高いレベルにある。エコを意識するならハイブリッド車を選べるのも魅力だろう。

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