■出力規制のきっかけとなるほどホットだったアルトワークス
アルトワークスも華麗なサクセスストーリーの持ち主だ。ご存知のようにアルトは、ベーシックに徹した商用車登録のボンネットバンからスタートしている。ベビーギャングのアルトワークスが誕生するのは87年だ。
心臓は550ccの排気量でありながら64ps/7500rpmの最高出力を絞り出す直列3気筒DOHC4バルブインタークーラー付きターボだ。タコメーターは1万2000回転まで刻まれ、レッドゾーンは9500回転だった。あまりにも刺激が強かったので、お役所から64psを上限とする自主規制が敷かれてしまった。
90年代になると排気量を660ccに拡大した第2世代のアルトワークスが登場する。最高出力は64psのままだが、最大トルクは8.7kg-mに増強され、ハンドリングも落ち着きを増した。3代目ワークスはオールアルミ製の直列3気筒DOHCインタークーラー付きターボになり、64ps/10.5kg-mを絞り出す。
98年秋に登場した4代目ワークスは、安全性の向上を目的にボディサイズを拡大し、ハンドリング性能にも磨きをかけている。だが、2000年12月にパワフルなターボエンジンを積むワークスは消滅した。その2年後、Keiに「ワークス」を設定したが、こちらも09年には生産を打ち切ってしまう。
スズキ軽スポーツの系譜は途切れたが、14年12月に登場した8代目アルトは「原点回帰」を図るとともに遊び心を盛り込んだ。そして15年春にはヤンチャな高性能モデルを復活させるのである。
その第1弾はターボRSだ。2ペダル5速MTのAGSとDOHCインタークーラー付きターボの組み合わせは初代ワークス並みに衝撃的なニュースだった。
そして12月、15年ぶりに「アルトワークス」を復活させたのである。
こちらはさらに刺激的で、5速AGSに加え、5速MTも設定した。痛快な走りを実現するためにボディの溶接をスポット増し打ちし、KYB製のスペシャルダンパーやハイグリップタイヤ、フロントスタビライザー、レカロ製バケットシートなどを装備する。走りに関する装備は、上級クラスを超える充実ぶりだ。
しかも販売価格は150万円をちょっと超えただけのバーゲンプライスである。
■走りの性能と実用性を両立
スイフトスポーツも最新の4代目は、スポーティ度を大幅に高めた。ワイドフェンダーを採用して初めて3ナンバー枠に踏み込み、トレッドを広げている。モンロー製ダンパーの採用と相まって意のままの気持ちいいハンドリングを実現し、乗り心地も向上した。
それでいてハイパワーターボのトルクステアも少しだけ残すなど、操る楽しさが分かりやすい味付けとしている。走り屋たちの心を知り尽くした心憎い演出も魅力の1つだ。
パワーユニットも一新され、ブースタージェットと呼ぶ1.4Lの直列4気筒DOHC直噴ターボを搭載した。最高出力は140psと平凡だが、最大トルクは23.4kg-mまで引き上げられている。
2.5Lエンジンと同等のトルクをターボの後押しによって発生するから加速は痛快だ。6速MTだけでなく専用にチューニングしたパドルシフト付きの6速ATも変速するのが楽しい。こちらも先進安全装備を盛り込みながら200万円をちょっと超えただけのバーゲンプライスを打ち出した。
スイフトスポーツとアルトワークスはスズキだからこそ送り出せた刺激に満ちたホットハッチだ。パワーユニットはパワフルだし、ボディやサスペンションもシャキッとして運転するのが楽しい。
走るたびに感動が湧くし、派遣がある。走りの実力が一級なことに加え、実用性能も高い。快適装備と安全装備は充実しているし、その気になれば4人でのドライブを余裕でこなす。中古車でスポーツモデルを、と考えている人にもオススメできる逸品だ。買い得感と満足度は驚くほど高い。
コメント
コメントの使い方