日産唯一のワゴン「AD」が一部改良 古豪の存在意義と今後は?

日産唯一のワゴン「AD」が一部改良 古豪の存在意義と今後は?

 最近はSUVが好調に売れる一方で、ステーションワゴンの車種数が大幅に減った。日本では車内の広いミニバンの人気が高く、海外を含めてSUVも増えたから、ワゴンは需要を奪われた。

 そして商用車の分野でも、“ライトバン”と呼ばれるワゴンスタイルの商用バンが激減。今ではトヨタ プロボックス、そのOEM車になるマツダ ファミリアバン、日産 ADのみだ。

 なかでも日産のADは5月、発売15年目にして改良を実施。乗用車版といえるウイングロードが2018年に生産終了してから、日産唯一のワゴンとなっているADが生き残る意味と今後の行方は?

文/渡辺陽一郎 写真/NISSAN

【画像ギャラリー】一部改良した日産商用車「AD」&トヨタ・マツダの商用車をみる


日産 ADが発売15年目の改良! その内容は?

日産 AD(販売期間:2006年~/全長4395×全幅1695×全高1500mm)
日産 AD(販売期間:2006年~/全長4395×全幅1695×全高1500mm)

 そのADが2021年5月に一部改良を受けた。改良内容は装備の追加で、ハイ/ロービームを自動的に切り替えるハイビームアシスト、ヒルスタートアシスト、USBソケットを全車に標準装着。2WDの全車にはアイドリングストップも標準装着している。

 相応に力の入った改良で、車名も変更された。以前はAD/ADエキスパートと呼ばれ、2016年の改良後はNV150ADとされたが、改めてADになった。

 現行モデルは2006年に発売された。2005年に3代目ウイングロードが発売され、翌年に同じボディを使ってバン仕様のAD/ADエキスパートが設定されている。ADは発売から15年を経過する長寿モデルだが、ライバル車のプロボックスは2002年の発売だから、基本設計はさらに古い。

2021年5月の一部改良により、ハイ/ロービームを自動的に切り替えるハイビームアシスト、ヒルスタートアシスト、USBソケットを全車に標準装着された
2021年5月の一部改良により、ハイ/ロービームを自動的に切り替えるハイビームアシスト、ヒルスタートアシスト、USBソケットを全車に標準装着された

 商用車は独自の機能やメカニズムを備える割に販売台数が限られ、価格も安いため、フルモデルチェンジをおこなう周期が全般的に長い。ワゴンスタイルのバンが消滅する中で、ADバンの需要はどの程度あるのか。販売店に尋ねると、以下のように返答された。

「今は商用車で好調に売れるのは、NV100クリッパー(スズキから供給を受けるエブリイバンのOEM車)だ。ADからNV100クリッパーに乗り替えるお客様も多く、ADの売れ行きは下がった」。

 たしかに経済的で使いやすいのは、NV100クリッパーのような軽商用車だろう。ボディが小さくて小回りも利くから、街中の配達などには便利だ。価格も割安で、ADの売れ筋価格帯(2WD)は160万~180万円だが、NV100クリッパーなら110万~140万円に収まる。軽商用車は税金も安い。

 また、軽商用車はエンジンを前席の下に搭載して荷室長を伸ばし、内張りは薄くして荷室幅を限界まで広げた。

 そのためにNV100クリッパーの荷室長は1910mm、荷室幅は1320mm、荷室高は1240mmだ。ADは1830mm・1285mm・940mm(数値はすべて2名乗車時/2WD)だから、すべての数値でNV100クリッパーを下まわってしまう。

次ページは : それでも必要? 販売店や商品企画担当からみたADの存在意義

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