■ヴォクシーはもともとエアロ系が売れ筋。販売店もノアとの売り分けを実施
ノア系3兄弟は、2017年7月のマイナーチェンジの時のリリースをみると、月販目標台数はヴォクシー5000台、ノア2700台、エスクァイア2300台となっており、ヴォクシーはノア、エスクァイアの約2倍の月販目標台数となっている。
ノア系3兄弟などのクラスでは伝統的にエアロ系モデルの人気が高く(エスクァイアは設定なし)、3兄弟のなかでとくにエアロ系志向の強かったヴォクシーの月販目標台数が多いのは市場を意識したものと考えていいだろう。
またこのクラスのユーザーの傾向としては、お父さんより、いわゆる“普段乗り”が多いお母さんのほうが、クルマを使う機会が圧倒的に多いこともあり、そのお母さんのなかには、馴染みのあるクルマに乗り継ぎたいとする人も多い。そのため、ヴォクシーからヴォクシーへといった新車への乗り換えが目立っている。
ただ、マツダがミニバンとなるビアンテの販売を終了し、ステップワゴンも3代目あたりから初代モデルのような勢いは失われており、それらのモデルを乗っていたユーザーがヴォクシーに集まってきたというのも、ヴォクシーが強くなってきている要因のひとつといえるだろう。
また、ノア系3兄弟は年末にもモデルチェンジが予想される末期モデルなのだが、そのなかでヴォクシーはいまもなおテレビコマーシャルが積極的にオンエアされ、有名俳優がお父さん役で娘とドライブするものと、有名タレントがお母さん役で息子とドライブする2パターンが用意されている。
アメリカあたりではミニバンは、“生活臭の強いクルマ”として敬遠するひとも多い。日本でもミニバンはファミリーカーの代表となっているが、「俺も(私も)ミニバン運転する歳になったのか」と思っているミニバンユーザーも少なくない。
そのようなユーザーの“免罪符”のようなものが、ミニバンのエアロモデルなのである。前述したヴォクシーのテレビコマーシャルで描かれるお父さんやお母さんは、若い頃は“やんちゃ”だったんだろうなあと思わせる設定となっている。
ただし、そのようななかで、アルファードというものが購入対象として視界に入ってくるようになり、ラグジュアリーミニバンという新たな“免罪符”として、アルファードが販売台数を増やしているのかもしれない。
■全店併売化により、消えゆくヴェルファイア。ヴォクシーはどうなのか?
同じ店舗でアルファードとヴェルファイア、そしてノア、ヴォクシー、エスクァイアを扱っていれば、お客がよほど好みを主張しない限りは、「どちらを(どれを)販売メインにするか」と決めるのはごく当たり前の話に見える。
ただ、販売現場では「ヴェルファイアはなくなるだろう」という声が大勢なのだが、ノア系では「エスクァイアはなくなりそうだが」としながら、ノアとヴォクシーのどちらが残るのかとなると話はかなり微妙となっている。
2020年9月にトヨタはタンク/ルーミーのタンクを廃止してルーミーのみにした時のように、例えば車名をヴォクシーに統一し、標準系モデルのデザインをノアっぽくして、ヴォクシーらしいエアロ系を前面に打ち出した統合をフルモデルチェンジで行うかもしれない。
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