■2位と3位は走りの一体感を味わえるこの2台
2位はMINI ONE。本命のクーパーは価格が300万円を超えるのだが、これまたエントリーのONEだって十分に楽しい。
MINIは独自のデザインはもちろん、「ゴーカート感覚」と称される俊敏なハンドリングを楽しめるのもまた人気のヒケツ。かつては少々やり過ぎな感もあったところ徐々に洗練されてきて、現行型でちょうどよくなったように思う。
エンジンだってONEでも十分に力強く、低音の効いたサウンドも3気筒にありがちな安っぽさもあまり感じさせない。キビキビとした走りを、なにもストレスを感じることなく味わえる。
5ドアもよいが、ショートホイールベースで前席重視に味付けされた3ドアのほうが、より純粋に走りを楽しめて、本企画の主旨に合っている。
3位はポロ。1.0リッターの3気筒エンジンを積む3グレードが300万円を切っているわけだが、ポロをドライブするたびいつも感心するのが、走りの「一体感」だ。
それはなにもGTIやR-LINEではなくても、普通のポロでも十分に味わえる。操作したとおりに応答遅れがなく正確に動いて、その感覚が極めてよくできている。一体感があると、運転して楽しくないわけがない。ベーシックなコンパクトカーでありながらたいしたものだ。
実は、共通性の高いアウディA1もエントリーモデルが300万円以下で、そちらもよくできていることには違いないのだが、300万円で買えることを考慮すると、ポロのほうが本企画の適任者ということで、ポロを挙げておきたい。
■4位と5位は足回りに味があるこの2台
4位はプジョー208。まず、エンジンが1.2リッター3気筒ターボというわりにはけっこう速い。105psで205Nmと数字的にはぼちぼちだけど、乗るとなかなかパワフルだ。加えてハンドリングは意外なほどクイックで、意外なほどシャープな回頭感を味わえるのも楽しい。
さらに感心するのが足まわりだ。一般的には「猫足=やわらかい」という固定観念があるが、208はかなりひきしまっていて、それでいてしなやかにストロークする。その所作は猫が高いところから飛び降りても音もたてず大げさな仕草をすることなく瞬時に身体の揺れを収束させるのと似ている。
それこそ本当の「猫足」であり、208は衝撃の受け止め方が本当に巧い。これができるのは足まわりがよいのはもちろん、それをしっかり支える土台があってこそ。このクラスで現状もっとも車体の完成度も高いように思っている。おかげで、持ち前の走る楽しさに路面との対話が加わって、より楽しく走れるというわけだ。
そんなによければ3位でもよいのではという気もするところだが、17インチタイヤを履く走りの本命の「GT」はわずかに300万円をオーバーしている。ということで、本当に悩んで僅差でこの順位としたことを、ご了承いただきたい。
5位はトゥインゴ。このクルマの楽しさの源は、なんといってもRRレイレアトであること。
フロントに重いエンジンやトランスミッションがないので慣性がなく軽やかに回頭し、アクセルを踏めばリアに重量物を積んでいるおかげでトラクションがしっかりかかって、ステアリングを切った方向に押し出してくれる感覚がある。
しかも前後バランスがよく、フロントにも安定して荷重がかかっているので、不意にアンダーステアに見舞われることもない。
このサイズなので最小回転半径は4.3mと軽自動車なみに小回りも利いて、車両重量も1トン前後と軽いのもポイントだ。おかげですべてが手の内にあるかような感覚で走りを楽しめる。
少し遅れて追加されたMTのほうが、よりそれをダイレクトの味わうことができる。ただし、エンジンはEDC仕様が0.9リッターターボのところ、MTは1.0リッターの自然吸気なので非力なのは否めず。逆だったらよかったのに……
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