アルトワークスがあるのになぜカプチーノは復活しないのか

■コストに厳しい現代では難しい

ルーフ、ボンネット、リアフェンダーの一部にアルミニウムを使用、ホイールや駆動系にもアルミニウム素材を使うなど、車両重量700kgという超軽量ボディを実現。お金のかけ方が尋常ではない
ルーフ、ボンネット、リアフェンダーの一部にアルミニウムを使用、ホイールや駆動系にもアルミニウム素材を使うなど、車両重量700kgという超軽量ボディを実現。お金のかけ方が尋常ではない

 カプチーノには、スズキのこだわりが詰まっている。しかしそれは、バブル景気という背景があったからこそ、できたことだ。

 例えば、エンジンブロックは、1995年5月のマイナーチェンジで、鋳鉄製から、軽量なアルミニウム製へと置き換えられた。これによって、エンジントルクが向上(7.5kgfm→10.5kgfm)し、車重も10kg減量して690kgという超軽量を実現したのだ。

 「エンジンブロックをアルミ化する」という変化の大きさは、自動車製造からすると、かなり衝撃的な変化だ。あのコストに厳しいスズキですら、専用パーツへかけるお金の額が尋常ではなったことがわかるエピソードであろう。

 そう考えると、コストに厳しい現代において、カプチーノが復活することは、残念ながら考えにくい。

 S660やコペンが誕生し、(実際のところは厳しいであろうが)ビジネス的に成功を収めていたとしても、二人乗りの軽オープンスポーツを作る、なんていう企画は、ファンからの熱烈な要望によってスズキが動かない限り、到底通らないであろう。

■スイスポとアルトワークスは「標準車が売れているから」成立している

スズキ アルトワークス
スズキ アルトワークス

 ではなぜ、スイフトスポーツやアルトワークスは、存続できているのだろうか。それは、それぞれの標準モデルであるスイフトやアルトが、きちんと売れているためだ。

 スイフトとスイフトスポーツ、アルトとアルトスポーツは、それぞれ同じボディ構造。

 そのうえで、内外装のエアロパーツやステッカー、エンジン特性、バネやダンパーといったサスペンション、ステアリング特性、シート、ステアリングホイールなど、パーツ交換の範囲で味付けを変え、仕上げており、カプチーノのような専用パーツが多くなるスペシャルモデルでは、コストがかかりすぎるのだ。

スズキ スイフトスポーツ
スズキ スイフトスポーツ

 だが、例えば、「スイフトスポーツ/アルトワークスのルーフをカットしたロードスター」のようなクルマであれば、可能性はゼロではない。

 FR方式は諦めることになるが、標準車とパーツ流用が効くのでコストを下げやすく、また、その変化のインパクトはものすごく大きい。たとえ限定生産であったとしても欲しい方はいるだろう(Aピラーを寝かせたスタイリングだと、とってもカッコよくなると思う)。

■それでも「令和のカプチーノ」が見たい!!

現代の技術水準で作られた「令和のカプチーノ」が見られたら、どんなに楽しいだろう
現代の技術水準で作られた「令和のカプチーノ」が見られたら、どんなに楽しいだろう

 スズキのクルマは、「軽くて・速くて・安い」ことが魅力だ。

 スイフトスポーツは187万円(2WD・6MT)~214万円(2WD・6AT)、アルトワークスは153万円(2WD・5MT)~168万円(4WD・5AT)という破格の安さで販売している。おそらく、他の自動車メーカーが出すならば、平気で300万円台を値付けするはずだ。

 200万円前後を予算とする場合、スポーツカー好きならば、少し前の中古スポーツカーを買って楽しむという手もある。

 だが、現代の技術水準で作り上げられた、メーカー純正のスポーツカーは性能が素晴らしく、ボディやサスペンション、シート、タイヤなどの進化によって、コーナリング、高速直進性、ブレーキ性能、そしてエンジン性能など、明らかにクルマの次元が異なる。

 現代の技術水準で作られた、「令和のカプチーノ」が見れたら、どんなにか楽しいだろう。

 スズキは、「ジムニー」、「ハスラー」、「スペーシアギア」など、企画立案が非常に上手い。ショーモデルでも構わないので、いつの日か「スズキの軽オープンスポーツ」が復活することを楽しみにしている。

【画像ギャラリー】軽FRスポーツの名作 スズキ カプチーノとカプチーノの魂を受け継いだあのコンセプトカーを見る

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