輸入車は右ハンドルでも「左」!! なぜ日本車のウインカーレバーは未だに「右側」なのか

実は「右ウインカー」だった輸入車も過去には存在

 しかし、JISに従って右ウインカー、左ワイパーとしている輸入車も少数ながらあり、筆者の記憶では以下のような例があった。

【1990年代後半~2000年代前半】

●サターンの右ハンドル車
●キャデラックセビルの5代目モデル

(同車はシートやペダルといったドライビングポジションを日本人向けに、当時のセルシオやシーマに対抗すべくバンパーを変えて全長を5m以下に、ディスプレイの表記をカタカナに、価格は500万円台と、日本市場への対応を非常に入念に行っていた)

【2000年代以降】

3代目フォーカスは、2013年から、フォード日本撤退の2016年までに販売されたクルマ。タイでの生産だったため、輸入車では珍しく右ウインカー、左ワイパーというレイアウトになった
3代目フォーカスは、2013年から、フォード日本撤退の2016年までに販売されたクルマ。タイでの生産だったため、輸入車では珍しく右ウインカー、左ワイパーというレイアウトになった

●燃料電池車ネッソ、ヒュンダイ車全般
●2013年からフォードの日本撤退まで販売された3代目フォーカス
(日本仕様がタイ国生産車だったためという事情もあるが)

 しかし、「では、ウインカーとワイパーを移設するという日本市場対応をした輸入車が成功したのか?」となると、皮肉なことにキャデラックセビルの5代目モデルがまずまず成功したくらいで、この点は「大勢には影響なく、セビル以外は鳴かず飛ばずに終わった。結局はクルマ自体の魅力や商品力の方が重要」というのが率直な印象だ。

 また、近年のメルセデスベンツやテスラの右側にあるコラムシフトもISOに従って左ウインカーだ。

 そのため右ウインカーの日本車に乗った後だと、うっかりコラムシフトをウインカーと間違って、左にウインカーを出す左折の際にコラムシフトがニュートラルに入って失速……ということも稀にある。これはちょっとややこしい話ではある。

日本車が「左ウインカー」になる可能性はあるのか?

写真はドイツ本国仕様のベンツCクラス。左ハンドル車でウインカーレバーも左側に設置
写真はドイツ本国仕様のベンツCクラス。左ハンドル車でウインカーレバーも左側に設置

 これは筆者の見解となるが、その可能性はゼロだろう。というのも、日本車は前述したようにJIS、ISOそれぞれへの対応体制が整っていることに加え、右ハンドルならJISの右ウインカーは合理的で、日本人はJISに慣れている、など、今さらISOに変えるほうが混乱を招くことにもなり得て、メリットは皆無だと思う。

 なお、日本でクルマに乗る際のウインカーとワイパーのJISとISOへの対応だが、筆者のように自動車メディアで働いていても、取材現場に日本仕様の日本車と輸入車があると、ワイパーとウインカーを間違うということは珍しくない。

 しかし、人間の適応能力というのも大したもので、特にクルマに対して興味がなく、輸入車から日本車に乗り換えたことがある筆者の母や叔母でも、その際にはすぐに慣れており、大した問題ではないと思っていい。

 そう考えると、日本仕様の日本車はJIS規格に準じ、輸入車は基本的にISOという現状は、無難な落としどころといえるのではないだろうか。

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