■500万円級のフェラーリモンディアルの結末
では続いて、格安360モデナが駄目であるならば、「格安モンディアル」はどうだろうか?
フェラーリ モンディアルは1980年から1993年まで製造販売された、「V8ミドシップなのに2+2(4座)である」という、ちょっと風変わりなミドシップフェラーリ。
現在流通しているモンディアルの中古車は最終世代の「モンディアルT」とそのカブリオレがほとんどで、これは3.2Lから3.4Lに拡大されたV8エンジンを、それまでの横置きから縦置きへと大変更して搭載した世代だ。
そんなフェラーリ モンディアルTであれば、ごく一部の個体は「車両価格500万円台」で探すこともできるのだが、これも、モノによっては“メンテナンスのいたちごっこ状態”となる可能性が高い。
いたちごっこでも結論としてビシッと直ればいいのだが、格安中古スーパーカーは(まぁモンディアルがスーパーカーかどうかはさておき)そもそもの素性がイマイチだった場合、「いろいろ修理しましたが、結局は直りませんでした」となってしまうことも考えられる。
そうなるともうカネと時間をドブに捨てるのと同じであるため、もしもモンディアルtおよびモンディアル カブリオレを狙うのであれば「車両価格700万円以上」をひとつの目安とするべきだろう。
■中古の水冷996型ポルシェ911を100万円台で買った場合に待ち受ける結末
ポルシェの場合はどうだろうか? 新車の911ターボSやGT3を買うとなれば2000万円、3000万円以上の予算が必要となり、往年の中古車を探すにしても、964型空冷911の5MT車が欲しいとなると、最近はおおむね1000万円以上の総額となるのが当たり前になっている。
だが、リアに搭載される水平対向6気筒エンジンが水冷化された最初の世代、すなわち「996型(1997~2004年)」のカレラであれば、車両価格170万円あるいは200万円ぐらいから探すこともできる。
170万円か200万円といえば、最近の軽自動車にオプション装備をたくさん付けて買うのとほぼ同じ予算であるため、「いっそポルシェ911を……」と思う心を否定しようとは思わない。
だが100万円台や200万円あたりの996型ポルシェ911は、正直やめておいたほうがいいだろう。
996型911で有名な「インタミ問題」、すなわちエンジン内になるインターミディエイトシャフトのボルトとベアリングが走行中にオシャカとなり、エンジンがブローしてしまうという問題は、激安価格で買える前期型の996型カレラには基本的には関係がない。
品質に問題があるベアリングを使っていたのは後期型で、前期型は耐久性的には問題のないベアリングが使われていたからだ。
しかしポルシェ911のエンジンというのは、当然ながら「インターミディエイトシャフト(とベアリング)がOKなら、すべてOK」というわけではない。ほかにもいろいろ劣化し、悪さをし、結果としてエンジンをオシャカにしてしまう要素はたくさんあるのだ。
その意味で、100万円台や200万円ぐらいの996型911カレラは多くの場合、歴代オーナーがろくすっぽメンテナンスをせず(下手をすればエンジンオイル交換すらせず)、そしてそれを仕入れて売る販売店もメンテナンスナンスらしいメンテはせず、「ルームクリーニングだけはやりました」みたいな状態で売りに出しているケースが多い。
すると当然ながら、そういった個体のエンジンというのは「ゔ~ゔ~ゔ~」といったニュアンスの不吉な唸り音を発しながらアイドリングし、アクセルペダルを踏んでもあまりパワーが発生せず(ついでにエンジンマウントもダメになっているものだから、振動もひどく)、そのうちすべてがぶっ壊れる……ということも大いにあり得るのだ。
ちなみに996型911のエンジンを新品に交換するとなると200万円ぐらいかかるが、200万円で買った中古ポルシェのエンジンを、200万円かけて交換する人はいないはず。つまり、結局は二束三文以下で手放すことになるのだ。
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