技術の進化でエアサスのメリット際立つ
そのため、現代のエアサスは、技術が進んだことや前述したセッティングの自由度の広さもあり、「普段はエアサスらしく柔らかいけど、走行モードを変えるとコイルスプリングよりもシッカリ感のあるもの」や、「機械式のスプリングなのかエアサスなのか分からない」というものが多く、エアサスのメリットがより目立つようになっている。
これはクルマのメカニズムにおいて、「電子制御のほうが機械式よりも将来性や発展性があるなど、本当は優れているけれど、初期のものは嫌う人も多い」というのに似ている。
例えば、現在日本で販売される新車で使っていないモデルはないといってもいい機構のひとつに電子制御スロットルがある。
アクセルペダルとエンジンの出力制御を行うスロットルバルブを、機械的なワイヤーではなく電気信号でつなぐ同機構は、当初アクセル操作に対するレスポンスが悪いなどの不満をよく聞いた。
しかし、何らかの事情もありそういったセッティングだっただけで、本来電子制御スロットルは機械式スロットルのようなフィーリングも可能だ。
さらに電子制御スロットルはソフトウェアでエコモードやスポーツモードなども用意でき、トラクションコントロールへの発展や、クルーズコントロールの装着も容易など、発展性は広く、今では特に不満を聞くことはなくなった。エアサスの進歩もそれと似たようなものなのではないだろうか。
現在の代表的なエアサス装着車は?
現在、エアサスを装着している主な新車は以下のとおり。
【トヨタ】
センチュリー、ランドクルーザープラド(リアのみ)、ノア・ヴォクシー・エスクァイア(車椅子対応スロープ仕様車のリア)
【レクサス】
LS、LX
【メルセデスベンツ】
Eクラス、Sクラス、マイバッハSクラス、C&E&Sクーペ、CLS、GLC、GLE、GLS、EQC(リア)、AMG GT4ドアクーペなど
【BMW】
5シリーズツーリング、7シリーズ、X5、X7など
【アウディ】
A8、Q7、Q8など
【ポルシェ】
パナメーラ、マカン、カイエンなど
【ランドローバー】
ディスカバリー、ディフェンダー、レンジローバーヴェラール、レンジローバースポーツ、レンジローバー
【ボルボ】
XC60、V90(リア)、V90クロスカントリー(リア)、XC90など
このように、昔は日本車が多く、輸入車には少なかったイメージのエアサス装着車だが、現在は信頼性と耐久性の向上もあり、特に輸入車で増加する形で、総合的に見るとエアサス装着車は増えている印象だ。
エアサスは今後も増えるのか
エアサス装着車の傾向としては、やはり高価な装備だけに、価格で言えば1000万円近くからのプレミアムブランドに多く、そのなかで前述のメリットが生きるラグジュアリーセダン、ステーションワゴン(リアのみが多いのは荷物をたくさん積んだ際に車高を保つ意味も大きい)、SUVがよく装着している。
また、エアサス装着車はメルセデスと比較するとBMWでは少ないなど、そのブランドのキャラクターや方針が見えるのも面白い。いずれにしても輸入車を中心とした1000万円近くからの高額車でのエアサスの装着は、今後も増えていくだろう。
なお、昔からアフターパーツのエアサスを装着したり、「エアサスが故障したので、そのクルマに普通のサスペンションがあればそちらに交換する」といった例もあるが、スプリングの形式は1台の市販車でコイルとエアサスがあればクルマ自体の型式が異なるくらい重要なものだ。
そのため、普通のサスペンションからエアサス、エアサスから普通のサスペンションとする場合には、車検証上の構造変更や記載変更も必要なので、この点も覚えておきたい。
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