■燃費記録装置の義務化は?
最後に一部メディアにおいて、2021年6月末にも明らかにされると報道された「燃費記録装置の義務化」について触れておこう。一時は計測機器会社の株価に影響を与えたほどの話題だったので、目にした方も多いはずだ。
内容としては、自動車の実際の走行時の燃費(実燃費)を正確に把握するために「国土交通省は燃費を記録する装置を新車に搭載するよう、メーカーに義務づける方針を固めた」というものだった。
「早ければ2023年10月以降の新車から順次適用する方針」と法律の施行時期にまで言及していたのは先走った報道だったといえる。
レポートの内容としては冷静な見方も含まれており、「データの収集・公表には個人情報の問題があるうえ、データをどう比較可能なものにするかなどのハードルも残り、今後検討を進める。」というのは現状把握としては間違いないだろう。
国土交通省が燃費記録装置の義務化を検討しているとすれば、課題となるのは車両から得られた実走行時の燃費データを収集する方法について、部品/システムの共通化など技術上の課題に加え、プライバシーの保護やセキュリティの確保を含めた法律上の問題や従来のいわゆる「カタログ燃費」をどう取り扱うのかなど、各自動車メーカーと調整すべき要素は数多く存在することは容易に想像できる。
実燃費とモード燃費の差はこれまで議論され続けてきたテーマであることは間違いないが、まずはハード面での調整が不可欠となるはず。
前述の世界的な規格統一との関連性などを含め、WLTC燃費とどのように“折り合い”をつけるのかなど、今後の自動車メーカーがどのように取り組みを進めていくのか注目される。
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