■まずはエアコンフィルターから換えてみよう
まずは日常的に気を遣ってやれば、効きが悪くなるといった軽度のトラブルであれば、簡単なメンテナンスを施しておけば防ぐことができる。
一番手は室内(グローブボックスの奥など)に設置されたエアコン用フィルターの点検。目詰まりを起こしていないか、定期的にチェックすることをお薦めしたい。
実体験としては、意外なほど風量などが大きく変わる場合があるので、「どうもエアコンの調子がよくない」と感じられたら、まずはココから確認してほしい。
使用している環境や使用頻度などによっても交換時期の目安は変わるが、エアコン用フィルター交換は1年または1万kmごとを薦めている場合が多いようだ。
交換費用はショップなどでは工賃込みで約4000~6000円。ただし、フィルターそのものは1000~2000円で手に入るから、充分自分で交換できるのでトライしてみるのもよいだろう。
■2~3年前から新規格のR-1234yfに切り替わりエアコンガス補充も高価に!
エアコンの効きが悪くなったり、エアコンガスの量を点検したことがない人はショップなどで受けられるエアコンガスのリフレッシュを薦めておきたい。
エアコンガスは長年の使用で、ガスの中に不純物が溜まることなどで冷却効果が低下する。またエアコンガスが規定量に満たないとコンプレッサーの負荷が増えて、燃費も悪くなったり、故障の原因になりえる。
具体的には専用のガス回収機でクルマからエアコンガスを回収し、不純物を取り除く。回収したガス量と規定量の差分のガス、エアコンオイルを規定量加え、綺麗になったエアコンガスをクルマに充填する。料金はHFC-134a(=R-134a)では、約8000~1万円(車種によって異なる)となっている。
ここ2、3年以内に登場した新車は、新規格のエアコンガスHFO-1234yf(=R-1234yf)対応に切り替わっている(車種によって異なる)。
国内では、2015年4月に施行されたフロン排出抑制法にて自動車用エアコンについて定められた 2023年までにGWP(地球温暖化係数)を150以下とする低GWP化目標の達成に向け、このR-1234yfへの移行が進んでいるのだ。
このR-1234yfは、R-134a(=HFC-134aのGWPは1430)に比べ、GWPが1未満と非常に低く、GWPを99.9%低減するという。
またR-1234yfの大気寿命はわずか11日と、R-134aの13年、CO2の500年以上に比べ非常に低く、分解に数十年を要するHFC(代替フロン)やCFC(特定フロン、オゾン層破壊物質)とは異なり、R-1234yfは大気中に滞留しないという。
ただし、R-1234yfの200g缶1本1万円前後もする。R-1234yfの工賃込みのガス補充料金はR134aに比べ、3万~5万円程度と非常に高価となっている(車種によって異なる)。
参考までにR-1234yf対応のエアコンガス適正量はハスラー320g、フィット370g、クラウン600g。
■エアコンの修理費用とエアコンが壊れない走り方
ここからは、以下にエアコン関連の修理費用(工賃込み)を紹介していこう。
・エアコンガス補充/約8000~1万円(R-134a)、約3万~5万円(R-1234yf)
・エアコンガス漏れ修理/約2万~3万円
・エアコン・コンプレッサー交換/約5万~10万円
・ファン(ブロワー)モーター交換/約2万~5万円
・エバポレーター交換/約5万~10万円
・エキスパンションバルブ交換/約2万円
・エアコンフィルター交換/約2000~5000円(年1回交換)
・サーモスタット交換/約1万円
※車種によって異なるため、あくまでも目安としてください
なお、軽自動車や輸入車など、車種の違いなどによって価格が変わってくるので注意しておきたい。これらのなかで、エンジン周りの部品のひとつであるエアコン用コンプレッサー(以下、コンプレッサー)の故障はやっかいだ。修理に高額の費用がかさむことが多いからだ。
エンジン本体側のプーリーからベルトを介して駆動されるコンプレッサーは、エンジンの駆動力を使っているので燃費への影響についてよく言及されるわけだが、コンプレッサーが壊れると“重整備”といえる修理内容になる。
コンプレッサーが壊れた場合には、本体の交換とともに、冷却回路内に残っているエアコンガス(冷媒)を回収して修理したうえで、新たに既定量のコンプレッサーオイルとエアコンガスを補充するため、最低でも3万円以上の費用がかかることになる。
たとえばコンプレッサーが焼き付いてしまった場合、冷媒とともに削られ落ちた金属カスなどの不純物が冷却回路内の隅々までに回ってしまうため、冷却回路を構成するパーツを総入れ替えする必要が出てくる。車種にもよるが、約10万~30万円という高額の修理代がかかることも覚悟しておきたい。
エアコンが臭くなったり、エアコンの風が弱くなった場合はエバポレーターが原因だ。エキスパンションバルブで低温・低圧にされた霧状冷媒を大量に気化し、ファンにより送られる車室内の暖かい空気がエバポレーターを通過することによって冷却し、室内を冷房化する。
暖かい空気がエバポレーターフィンに当たり、露点温度以下に冷却されると空気中の水分が凝縮し、エバポレーターフィンに水滴が付着する。この結果 、車室内の湿気をとることができる。
このエバポレーターが壊れた場合、交換費用は約5万~10万円。洗浄も行ってくれるが1回1万円以上かかる。小さい子供がいて、カビや細菌が気になる人はフィルター交換とともに年に2回のエバポレーターの洗浄をお薦めする。
エアコン(とエンジン)に負荷をかけるような扱い方、すなわち、高回転域を頻繁に(長時間)利用するような走り方は避けるべきで、クルマに優しい適切な使い方を心がけたい。
ほかにも、猛暑のなかのひどい渋滞や買い物などで駐車場に停車しているような状態でエアコンを30分以上付けっぱなしにするなど、エアコンはもちろんのこと、エンジンや補機用バッテリーなどの電装系の負担が大きくなるような使い方は極力避けるべきだ。
まずは日常のメンテナンスを行い、それを欠かさなければ、エアコン関連のトラブルはある程度防げるはずなので、日々のチェックを怠らないことが肝要だろう。
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