全国各地で気温35℃を超える猛暑日が続出しているなか、8月10日には今年初めて東京でも36.1℃を記録し、東京・八王子市では39℃に達するなど、猛烈な暑さが続いている。
こんな時に、もしエアコンが壊れたら……、と考えただけで恐ろしい。うだるような暑さのなかで、ノロノロ渋滞中にエアコンの設定温度を16℃にして風量もMAX……と、エアコンが悲鳴をあげるような使い方をしていませんか?
そして、ここ2、3年で登場した新車に使われているエアコンガスがR-134aから高額なR-1234yfに切り替わっていて(車種による)、気軽にエアコンガス補充ができなくなっている事情もあると聞く……。
そこで、エアコンが効かなくなった、あまり冷えない、といったエアコンのトラブルは、具体的にどんなものがあるのか? そして、なぜ壊れるのか? エアコンが壊れる理由と、気になる修理費用をモータージャーナリストの岩尾信哉氏が解説する。
文/岩尾信哉
写真/ベストカーweb編集部、Adobe Stock(トビラ写真/Adobe Stock@Monika Wisniewska)
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■エアコンが冷えない理由はどこにある?
夏場に見舞われるエアコン周りの主なトラブルの例は以下のようなものが考えられる。
・冷媒不足:冷媒(エアコンシステムに封入されている気体、主にフロンガス)がない、あるいは漏れて減少している
・コンプレッサーの故障、コンプレッサー自体の不具合
・その他、室内のフィルターやブロワーファンのホコリなどの汚れによる目詰まり
基本的には家庭用と変わらないエアコンシステムの基本機能を簡単に説明すると、液体が気体に変化する際に周囲の熱を奪う現象を気化熱効果、熱を奪う物質を冷媒と呼ぶ。
これを利用したのがエアコンの機能で冷媒(エアコンガス=HFC-12、HFC-134aやHFC-1234yfなどのフロンガス)を液体→気体(熱を奪う)→液体(熱を戻す)に変化させることで熱を循環させ、室内気を冷やす機能を得ている。
エアコンシステムの主要な部品としては冷媒を圧縮して高圧化するコンプレッサーを始め、熱のやりとりを行う熱交換器としてコンデンサーとエバポレーターなどが備える。
エアコン故障の主な原因として挙げられるのは、上記の部品や結合部分などが振動や熱によって劣化して起こる、冷媒の「ガス漏れ」だ。
エアコンシステムを構成する高圧ゴムホースや金属パイプで構成される配管部には、車両の走行(エンジンの作動)中では、エンジンや車体からの振動や熱に晒される常に負荷がかかっている。
基本的にはいわゆるメーカーの機能部品の保証期間中にトラブルに見舞われる可能性はかなり低いとはいえ、長く乗ろうとすればそれなりにメンテナンスを施す必要がある。
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