■遊び心も職人を楽しませる
職人=実直、真面目、頑固というイメージがあるが、遊び心をわかってくれるのも、職人さんたちの特徴だろう。
筆者がトヨタ販売店でハイエースの商談をしているときに、建築現場で大工として働くお客さんから、こんなことを言われた。
「ハイエースはカタログの作り方も洒落ているよね。こんなカタログ、他のクルマじゃ見たことないよ」
突然だが、皆さん「一尺は何センチ」かご存知だろうか。建築系のお仕事されている方なら、普段から「尺」を使って話をしているので、一尺が約30cmというのは周知の事実だ。厳密にいうと、一尺は1メートルの33分の10の長さである。
この尺の概念が、ハイエースのカタログには存在する。筆者も当時お客さんから言われて、初めて気が付いた。
ハイエースでは荷室長、荷室高、荷室幅を掲載しているページに、ミリメートル表示と尺表示を併記している。例えばスーパーGLロングバン・標準ボディ・標準ルーフの場合、荷室長3000mm(約9尺)、荷室高1320mm(約4尺)、荷室幅1520mm(約5尺)という具合だ。
他のボディ形状でも、荷室の大きさを示すページには、必ず尺表示がある。
ハイエースにモノを積めるのは当たり前、積みやすいのはハイエースの工夫であり、積む人のことを考えた尺表示は、ハイエースの遊び心や気遣いなのだろう。非常に細かいポイントだが、玄人にしかわからない「違い」を見せるところも、ハイエースが職人から指名買いされていく理由なのだと筆者は思う。
自家用車からキャンピングカーまで、様々な使われ方をされているハイエースだが、こと職人仕事に限定すれば、ハイエースを持つことがステータスである。職人としての高い地位を示す、ブランドになっているのだ。
自分の仕事道具と同様に、職人さんはハイエースを選ぶ。一緒に仕事をしてく間柄として、ハイエースは、多くの職人さんにとっての、最高の相棒になってくれているのだろう。
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