カタログに「尺」?ハイエースが職人に指名買いされるワケ

カタログには「尺」が必要ってなに!? ハイエースが職人に指名買いされるワケ

 国内市場でキャブオーバーバンといえば、トヨタ ハイエースか日産 NV350キャラバンの2択となるだろう。どちらも働くクルマとして人気があるが、特にハイエースは「職人」からの信頼が厚い。

 トヨタ販売店で営業マンをしていた筆者は何度も、販売現場でハイエースの指名買いを体験してきた。一体、ハイエースの何が、職人たちの気持ちを動かすのだろうか。ハイエースが職人に支持される理由を、解説していこう。

文/佐々木 亘、写真/TOYOTA

【画像ギャラリー】バリエーションは50以上!! 仕事に合わせて選べる自分だけの相棒 トヨタ ハイエース


■なぜハイエースなのか、ミニバンでも同じでは?

働くクルマとして絶大な人気を誇るトヨタ ハイエース。外を歩けば必ず見かけるといっても過言ではない

 ハイエースの特徴は、キャブオーバースタイルで室内長が長く、たくさんの荷物が積み込める、そしてタフで壊れにくいということになるだろう。

 キャブオーバーではないが、荷物がたくさん積み込めるクルマは他にも存在する。例えばミニバンが代表例だ。四角いボディに人もモノも、多種多様に積み込むことができるのは、ハイエースと共通した、ミニバンの魅力だ。

 例えば、ノアのエントリーグレードは車両本体価格255万6400円だ。ハイエースの6人乗りガソリン5ドアのDX‘‘GLパッケージ‘‘は車両本体価格257万8000円となる。ほとんど同じ価格であり、何なら乗り心地や装備については、まぎれもなくノアの方が上なのに、なぜハイエースが選ばれていくのだろうか。

 ここには、職人たちが単なるクルマではなく、「仕事道具」を選んでいる背景を知らなければならない。ハイエースには、職人たちが道具として選びたくなる魅力が、たくさんあるのだ。

■職人が吟味する、七つ道具のような存在

職人たちに愛される理由はバリエーションの豊富さだろう。作業内容や作業に携わる人数など、自分の仕事内容に応じてシート数や荷室の広さなどを細かく指定できる

 そもそも職人とはどのような人を指すのだろうか。広辞苑には「手先の技術によって物を製作することを職業とする人。大工・左官・指物師など。」と記載がある。ハイエースは、このような大工や左官など、建築関係の職人から、圧倒的な支持を集めるのだ。

 職人は自分の仕事に合った道具を選ぶ。既製品ではなく、自分好みにカスタマイズできるものだ。フレキシビリティが高い道具が、職人からは好まれる傾向にあるだろう。

 ハイエースは、職人の要望に応える、バリエーションの多さが際立つクルマだ。

 大きくバン・ワゴン・コミューターの3種類に分けられ、さらにボディ長によってロングとスーパーロング、ボディ幅では標準とワイドの2種類が用意される。そしてルーフ形状が3種類、フロア形状が2種類、ドア数が2種類、乗車定員が2・3・4・5・6・9・10・14人の8種類もあるのだ。

乗車定員も2〜14人までが選べる。1台に作業者をフルに乗せ、もう1台に機材や資材を載せて運ぶような使い方もできる

 加えて、エンジンは2.8Lディーゼル、2.7Lガソリン、2.0Lガソリンの3種類。駆動方式は2WDと4WDを用意する。

 これらの組み合わせから生み出されるハイエースの種類は、なんと50種類にも及ぶ。職人たちは、50種類の中から、自らの仕事道具として相応しいハイエースを選び、自分の相棒としているわけだ。

 生産するメーカー側から見れば、50もの種類があることは、非効率以外の何物でもない。ただ、この圧倒的なバリエーションが、職人たちを虜にするハイエースの力であり、人気車であるハイエースにしかできないことなのだと思う。

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