2000年4月にチャイルドシートが法制化されて21年以上が経過したが、いまだに着用率は7割(2019年チャイルドシート使用状況調査 警察庁・JAF合同調査)にとどまっている。さらにその7割でさえも正しく着用できているのは半分に満たないというから恐ろしい。クルマのシートに「ただ置いただけ」のチャイルドシートも少なからず存在している。
文/加藤久美子
写真/加藤久美子、Adobe Stock、ベストカーWeb編集部(アイキャッチ写真:Adobe Stock@ohayou!)
■法制化から21年経過しても正しい知識が普及しないチャイルドシート
筆者は息子の誕生とともにチャイルドシートに関する知識を深めるべく「チャイルドシート指導員」(一般財団法人 日本交通安全教育普及協会認定)の資格を取得した。それから20年、数多くのチャイシーを検証してきたが、正しく装着できているのは1割以下である。
エアバッグのある助手席に乳児用(後ろ向き)がついていたり、子どもの体を固定するハーネスがユルユルだったり、また、体重7kgを超えると外さなくてはいけない「乳児クッション」が1歳超えても使われていたり…。
間違った使用がほとんどだが、この傾向は一般ユーザーだけではない。タイヤやカー用品など、視聴者に正しい装着を啓発する立場であるはずの自動車関連メーカーのCMに出て来るチャイルドシートも実は間違いが多い。そのままの状態で重大な事故に遭ったら子どもの命が守れない可能性もおおいにある。
・某タイヤメーカーのCM
座っている赤ちゃんはどう見ても新生児じゃないのに、(体の盛り上がりから見て)新生児用クッションが使われておりその上に座っている状態。体が浮き上がってチャイルドシートに密着しておらず危険。ヘッドサポートの位置&肩ベルトも低すぎて赤ちゃんの頭部や肩回りにあっていない。
・某ガラスコーティング剤のCM
「チャイシー業界」では有名なダメCMの典型。後部座席に3人の赤ちゃんがそれぞれチャイルドシートに座っているがハーネスがユルユルで急ブレーキレベルの衝撃でも赤ちゃんが転げ落ちる危険アリ。肩ベルトの高さもあっておらず、こちらも体に合わない新生児用クッションが使われていて危険。横転でもすれば赤ちゃんは簡単にすっぽ抜ける。最悪の場合、車外放出で即死の可能性もある。
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