ステランティスを構成する14の自動車メーカー
では、ステランティスがどんなメーカーによって構成されているのかを見ていくことにしよう。FCAに属していたのが「フィアット」「アバルト」「アルファロメオ」「マセラティ」「ランチア」「クライスラー」「ジープ」「ダッジ」「ラムトラックス」の9社で、グループPSAは「プジョー」「シトロエン」「DS」「オペル」「ボクスホール」の5社。これらすべてがステランティスグループの下で統合される。
ステランティスグループのCEOにはグループPSAのカルロス・タバレス氏が就任し、会長職はFCAのジョン・エルカン氏が担う。このことからもステランティスグループの誕生がどちらかによる吸収・合併ではなく、より高いレベルでの統合であることが理解できる。
輝く星の光はどちらの世界を指し示す?
ステランティスグループは、世界第1位のフォルクスワーゲングループ、第2位のトヨタ自動車、そして第3位のルノー・日産・三菱連合に次ぐ第4位の生産台数を誇る(2019年の統計)。
だが、ステランティスの目標は、世界最大の生産台数を達成することでなはく、業務効率と生産性の向上によるサスティナビリティ(持続可能性)の確立だという。統合によってグループ全体の経営状態が強化され、各メーカーの交流による技術力の向上も期待されている。
「優れていることは大きいことより重要」のフレーズのもと、これらからのステランティスグループは、国際的なネットワークを活かして製品とサービスのクオリティアップに努めていくとのこと。実際に今回の統合により50億ユーロ(約6500億円)に相当するシナジー効果が得られるという。全従業員は40万人に達し、その国籍は150カ国に及ぶ。これほどの規模を持ったグループが、どれだけのことを成し遂げられるのか、興味は尽きない。
電動化時代のリーダーを狙うステランティスの戦略
2021年7月に、ステランティスグループは同社の中期的な電動化戦略に関する発表を行った。その内容は、2025年までに電動化とそれに関連したソフトウェア開発に300億ユーロ(約3兆9000億円)を投資し、投資回収効率も業界平均を3割上回ることを目指す。
そして2030年までの低排出車(LEV)の販売構成比率目標をヨーロッパ/7割、アメリカ/4割以上とする。さらに効率に優れたバッテリーの開発などが掲げられているが、なかでも注目したいのが、ステランティスグループの全14ブラントでベスト・イン・クラスの電気自動車をラインナップするというもの。ブランドごとにそれぞれの個性を生かした電動自動車を開発・販売し、ワンサイズですべてをカバーするという戦略をとらないという点に注目したい。
グループとしては誕生したばかりともいえるステランティスだが、もともと基盤のしっかりしたメーカーの連合だけあって、新技術の開発をはじめ、販売戦略においても確実なステップを踏んでくることが予想される。イタリア・アメリカ連合のFCAに、フランス中心のグループPSAという、国民気質が大きく異なるメーカーによる“大連合”が、これからの自動車業界にどんなムーブメントを起こしてくれるのだろうか?
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