■ハイオクとレギュラーの違い
現在の日本の工業規格ではオクタン価89以上がレギュラーガソリン、96以上がハイオクガソリンとなっています。日本の自動車メーカーはこのオクタン価を目安にして国内仕様車用のエンジンを設計しています。
ハイオクガソリン仕様のクルマはスポーツタイプが多く、例えば日産GT-Rやトヨタ ヤリスの1.6L車、スズキ スイフトスポーツなどがハイオク仕様です。また、レクサスLS500hなどはハイブリッドモデルながらハイオク仕様となっています。
ハイオクとレギュラーの違いは添加物の違いです。添加物の入っていないホワイトガソリンのオクタン価が50~55と言われいています。クルマの燃料として使われるガソリンは、原料にさまざまな添加物を加えることでオクタン価が向上しています。
前述のようにオクタン価89~95のものがレギュラー、オクタン価96以上がハイオクとなりますが、一般的に販売されているガソリンのオクタン価はレギュラーが90~91程度、ハイオクが98~100程度となっています。
■ガソリンの種類を間違えるとどうなる?
さて、ハイオクガソリン仕様のクルマにレギュラーガソリンを給油、またはその逆を行うと何が起きるのでしょう? まずハイオク仕様にレギュラーガソリンを入れた場合ですが、即座にノッキングを起こしてエンジンが壊れるわけではありません。
現代のエンジンにはノックセンサーというセンサーが付いていて、ノッキングが発生すると点火タイミングを遅らせてノッキングを防止します。出力はダウンしますが、エンジンが壊れるまでに至ることはまずありません。
30年くらい前は粗悪ガソリンといわれるものが存在しましたが、今はほとんど聞くことがなくなりました。一般的に名前が知られたガソリンスタンドで給油する限りは問題ないといえます。ただし、ハイオク仕様にいつもレギュラーガソリンを入れるのは避けたいものです。
さて、ではレギュラー仕様車にハイオクガソリンを入れるとどうなるでしょうか? 出力が上がるような気がしますが、実は最近のクルマでは何も変わりません。レギュラーガソリンで最高の性能が発揮できるように設計されているため、恩恵を受けることはないのです。
例外的に、距離を走ってエンジンの燃焼室に煤が溜まっているような個体の場合、ハイオク燃料に含まれる洗浄成分によって燃焼室の煤が払われて性能が回復し、性能向上したように感じることもあります。
多くの輸入車はハイオク仕様になっています。とくに欧州車はハイオク仕様のクルマが多いのですが、これには理由があります。
例えばドイツはガソリンが3種類に分けられていて、オクタン価が一番低いものが91、中間が95、一番上が98や100となっています。もっとも低くても91なので日本でオクタン価89や90のレギュラーガソリンだと対応しない可能性があるのです。
そこで安全のため余裕を持ってハイオク仕様になっているというわけです。しかし、この設定はちょっと外国メーカーの怠慢があると私は思っています。
日本の自動車メーカーは、輸出する仕向地に合わせて細かくセッティングを変えて商品性を高めています。輸入車もそうしたセッティング変更を行うべきだと思うのですが、してきません。
これは日本のユーザーが「欧州車だからハイオクはしかたない」という姿勢でいることも輸入車がハイオク仕様のままで入ってくる原因のひとつでしょう。例えば日本のファミリーカーがハイオク指定で海外で売られたら、買ってくれるお客さんは確実に減るでしょう。
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