■4WDのGT-Rを凌ぐ魅力を秘めていたGTSモデル
パワーユニットも上質なパワーフィールだ。自然吸気のDOHCエンジンは低回転のトルクが細く、小まめな変速を強いられるが、操る楽しさは格別だった。その気になれば7000回転まで実用になり、回転を上げるほどにパワー感が増す。
大改良を施したRB20DET型DOHCセラミックターボも過給が始まるまではトルクが細い。だが、そこから上の応答レスポンスは鋭く、こちらも7000回転手前まで気持ちよくパワーとトルクが上乗せされていく。
家族と乗る時は上質なパワーフィールを味わえ、高速道路では直進安定性に優れ、乗り心地も良好だ。そしてワインディングロードでムチを入れれば、気持ちいいハンドリングと安定した制動性能を披露する。
GT-Rを追加することを考えて開発していたため、エンジンパワーにシャシーとサスペンションが負けていない。雑な運転をしていた人は、運転が上手くなったように感じられたはずだ。
峠道を飛ばすだけでなく、かつての2000GTのようにグランドツアラーとしての資質も高かった。多くの人を魅了した2000GTの血を受け継ぐ平成の2000GTがR32の2000GTSである。
トップグレードのタイプMでなくても操る楽しさにおいて、4WDのGT-Rを凌ぐ魅力を秘めていた。だから今も長く乗り続けているファンが多いのだろう。稀代の名車といえる。
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