接戦のレッドブルvsメルセデス!! 明暗を分けたハンガリーGP

■予選タイムリミットが!! メルセデスが仕掛けたギリギリの頭脳戦

予選から気合がのっていたフェルスタッペンだが、メルセデスの作戦(?)によりタイムアタックが不発に終わり、決勝は3番手からのスタートとなった
予選から気合がのっていたフェルスタッペンだが、メルセデスの作戦(?)によりタイムアタックが不発に終わり、決勝は3番手からのスタートとなった

 そして、最終グリッドが決まるQ3。なんとここで大きな事件が発生!

 1本目のアタックでは、フリー走行で好調だったメルセデス勢がワンツー、レッドブルはそれに続きます。フェルスタッペンは、メルセデスに0.5秒近く差をつけられているので、2アタック目ではなんとか近づきたいところ。

 ところが、全車ピットアウトすると、もうQ3終了時間が近づいています。しかも悪いことに、レッドブルは全車の中で最後尾。そして、その目の前にはメルセデス。各車が間を開けてアタックに入る中、レッドブルはアタックに入れるかどうかの瀬戸際です。

 目の前のハミルトンにぴったり付けていたフェルスタッペンは、なんとかアタックに入れましたが、なんとその後ろのペレスはチェッカーフラッグを振られ、アタックならず!

 フェルスタッペンもハミルトンに引っかかってしまったこともあり、予選1位はハミルトン、2位はボッタス、3位フェルスタッペン、4位ペレスという結果になりました。これを受けて、客席からは大ブーイング。どうやら、意図的にメルセデスがレッドブルのアタックを妨害したと思った方も多くいたようです。

 確かにハミルトンの2アタック目は、明らかに1アタック目よりタイムが遅く(約+1.7秒)、そう取られても仕方ないかもしれません。しかし、レッドブルのリリースする位置もタイミングが良くなかったのも事実。

 個人的には、どちらが悪いとは言えないのではないかと思いました。真偽のほどは分かりませんが、これでメルセデスとレッドブルのファンの対立がより高まることに……。

■レッドブルにさらなる不運!! スタートの混乱での多重クラッシュ

決勝はウェットコンディションでスタート。レッドブルの2台は1周目のクラッシュに巻き込まれた。ペレスはリタイヤ、フェルスタッペンもポジションが上がらない
決勝はウェットコンディションでスタート。レッドブルの2台は1周目のクラッシュに巻き込まれた。ペレスはリタイヤ、フェルスタッペンもポジションが上がらない

 大ブーイングで幕を閉じた予選でしたが、決勝はなんと雨からのスタート。これは大波乱の予感です。ほぼ全車インターミディエイトタイヤでスタートの瞬間を待ち構えます。グリーフラングが振られた瞬間もまだ雨は降り続いていました。

 ライトがブラックアウトすると、全車明らかにトラクションを失い、のろのろとした動き出しでスタート。

 そこで特に遅かったのがメルセデスのボッタスです。その後ろにいたフェルスタッペンは、ボッタスを避けてハミルトンの後ろにつきました。ボッタスはそのままスピードが乗らず、6番手にいたマクラーレンのノリスにも抜かれてしまいます。

 これでボッタスは焦ったのか、1コーナーで完全にタイヤをロックさせ、目の間のノリスに追突。そして、弾き飛ばされたノリスがフェルスタッペンにぶつかり、ボッタス自体はペレスに直撃。なんとここでレッドブルは2台とも大ダメージを追ってコースアウト!

 ペレスはリタイアにに追い込まれ、フェルスタッペンもフロアまわりにダメージを負い、完全にペースを失います。ボッタスもリタイアしたものの「なぜレッドブル2台にこうまで上手く当たるの?!」という、まさにボーリングを見ているかのような悪夢のクラッシュ。

 このままでは、サマーブレイク前にメルセデスがトップに立ってしまいます。

■目を疑ったメルセデスの愚策!? しかし……

予選も好調で5番手からのスタートとなったアルファタウリのピエール・ガスリー。決勝でも5位でのフィニッシュとなった
予選も好調で5番手からのスタートとなったアルファタウリのピエール・ガスリー。決勝でも5位でのフィニッシュとなった

 ところが、勝利の女神は簡単には微笑みません。赤旗後の再スタート時、フォーメーションラップで路面が乾いていると判断したチームの多くが、続々とピットへ戻ってきます。

 赤旗後の再スタートは基本的にスタンディングスタートなのですが、「ピットスタートになってでも即刻ドライタイヤへ交換すべき」との判断だったようです。

 ところが、1台だけグリッド位置に戻ってくるマシンが。それはなんと、ルイス・ハミルトンではないですか!

 全員がピットでドライタイヤに交換にしてピットロードに並ぶ中、ハミルトンは一人でぽつんとスタンディングスタート。この作戦が悪手だということは、見ている全ての人が分かっていたことでしょう。

 ハミルトンは、1周してそのままピットインし、大きくタイムロス。ドライタイヤ勢でもっとも前にいたアルピーヌのオコンがレースをリードする形になりました。

 そして、多重クラッシュを上手くかわした角田選手はなんと4番手につけています。フェルスタッペンは11番手ですが、やはりマシンにダメージがあるようでペースが上がりません。

 一気に最後尾になったハミルトンですが、すぐさま鬼のようなタイムで後ろから追い上げてきます。角田選手が、23周目でピットインすると、7番手で復帰。すると、すぐ後ろにはもうハミルトンの影が迫っています。

 ハミルトンが後ろにぴったり張り付くと、角田選手はハミルトンをブロックして手こずらせますが、角田選手自身もこのバトルでタイヤを酷使してしまい、後半にタイヤを残すことができませんでした。

 最終的には、タイムが上がらず、チームオーダーでチームメイトのガスリーを先行させることに。それでも、角田選手は自身最高位の6位でフィニッシュ。ポイントを獲れたことは良かったのですが、内容はまだまだ課題が残るものになりました。

 鬼の形相で前を追いかけるハミルトンですが、途中で大きな壁が立ちはだかります。それは、過去に2度のチャンピオンを獲得しており、以前ハミルトンのチームメイトでもあったアルピーヌのフェルナンド・アロンソ。

 今年からアルピーヌでF1復帰したアロンソですが、まったく錆びついていないドライビングテクニックを見せつけます! フェイントなどを挟みながら、どのコーナーでもハミルトンが行きたい場所を確実にブロックします。

 そして、しっかりブロックしながらも、相手にラインは残していて、実にクリーンなバトルに観客は大興奮(私も)! マシンの性能差があるにも関わらず、なんとアロンソは約17周にわたってハミルトンの前を走り続けました。

次ページは : ■フェアでありながら容赦ないアロンソの走りに大興奮!!

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