■ホンダらしいこだわりのスポーツモデルたち
もう1台、ホンダ創立50周年を記念してピュアスポーツカーが企画された。これが99年春に発売されたフルオープンのホンダS2000だ。タイプRは設定されなかったが、ホンダらしさがほとばしるスポーツカーである。
駆動方式はホンダS800以来のFRレイアウトだ。パワートレインやボディ設計には当時の最新テクノロジーをふんだんに盛り込んでいる。オープンだが、フレーム構造はサーキット走行に耐えられるほど強靭だった。
搭載するのは排気量1997ccのF20C型直列4気筒DOHC・VTECで、これを縦置きに配置している。アルミ鍛造ピストンや鍛造コンロッドには浸炭処理を施し、アルミ製のブロックはラダーフレーム構造とした。
リッター当たり出力は125psを超え、最高出力は250ps/8300rpmを達成している。これにショートストローク、ダイレクトチェンジ方式の6速MTを組み合わせた。9000回転まで気持ちよく回り、エンジン音も感動的だ。
インホイールタイプの4輪ダブルウイッシュボーンサスペンションにトルセンLSDを採用し、前後重量配分は50:50だった。しかもFR方式だからシャープな身のこなしを見せる。オープンカーだが、レーシングカーのようにドライバーが操っている感覚が強い。
このS2000だけでなく90年代にホンダが生んだスポーツモデルは開発者のこだわりが濃密だ。ステアリングを握っていると、開発者の狙いがよく分かる。だから運転して楽しいし、今の時代にも輝いて見えるのだろう。
コメント
コメントの使い方