どん底から共に這い上がった、Zと日産
●4代目(Z32型、1989~2000) 生産数:約16万台
Z32が誕生した、80年代末~90年代初頭といえば、初代セルシオや初代NSX、R32型スカイラインGT-Rなど、国産スポーツカーが黄金期を迎えていた時代。今では考えられないほど、若者達がクルマへお金を使い、日本のスポーツカーを買いあさっていた。
Z32も先代までのロングノーズショートキャビンの伝統的なスタイリングから、時代の流れに乗り、ワイド&ローな方向へと進化した。
トップグレードのエンジンは、3.0LのV6ツインターボを採用し、280馬力へとパワーアップ。同時期に発表されたR32型スカイラインと同じく、スーパーHICASがツインターボモデルに装備されているなど、贅を尽くしたモデルであった。
Z32は、これまでの型を破り、未来的で新しいデザインへ変化したことで、フェアレディZの新たな方向性を示した、名車の一台だ。
だがしかし、日産の経営は依然として厳しい状況が続いており、このZ32が2000年に生産終了となったのち、フェアレディZは、いったん日産のラインアップから姿を消すことになる。
●5代目(Z33型、2002~2008) 生産数:約23万台
2000年に生産終了となったZだが、全米のZオーナーズクラブを中心としたファンからは、Zの復活を望む声が強く発せられていた。その声に応えるべく、日産は開発を再開。日産デザインアメリカを中心にコンセプトカーがつくられた。
鋭いヘッドライト、切れ上がったテールランプ、そして大きなリアフェンダーなど、美しいプロポーションのコンセプトカーがつくられ、ほぼそのままの姿で市販されたのがZ33だ。
エンジンは、排気量を500ccアップし、3.5リッターV6 NAエンジンへと進化、怒涛のトルクでグイグイと走らせるようなロードゴーイングカーとなった。シャーシはV35型スカイラインと同じFMプラットフォームを流用し、前後重量配分も53:47と適正化している。
日産が倒産という窮地から、ようやく脱したタイミングで登場したZ33は、日産ブランド復活の狼煙となる一台であった。Zと共に、どん底から這い上がる流れは、まるで今回の新型Zの登場とそっくりにも思える。
●6代目(Z34型、2008年~) 生産数:約13万台
V字回復から上向き成長を続けていた日産は、2007年のR35型GT-Rのデビューに続き、2008年に現行型であるZ34をデビューさせる。
Z33型のスタイリングをベースに、よりマッシブなボディスタイルとし、排気量を200cc増やした3.7LのVR37HRエンジン採用など、デザインと中身を正常進化させた。また、2012年のビッグマイナーチェンジで、フロントバンパーのデザインが変更となり、フロントグリルにあった牙のような造形がなくなった。
その後、2014年に行われた「NISMO」のマイナーチェンジを最後に、今のデザインに落ち着いている。なお、V6 NAエンジンは3.7Lにまで拡大、新型は3.0LのV6ターボへと縮小化されるため、Z34が歴代で最も排気量が多いエンジンとなる。
初登場からすでに13年、その間日産自動車には様々なトラブルがあった。それでもZ34がモデル消滅を免れ、ラインアップし続けることができたのは、Z34がファンに愛され、そしてその声が日産にも届いていたからであろう。
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