フェラーリやランボルギーニ、ポルシェといったスーパーカーが燃えるとニュースになり、ネット上では「フェラーリやランボは燃える」という誤解を持つ人すら多く存在している。
では、真実はどうなっているのか? 自身もこの春からフェラーリオーナーとなった柳川洋氏が、自動車保険会社の事故火災情報や消防庁のデータなどから、その実態を分析。
文/柳川洋 写真/柳川洋、フォッケウルフ
【画像ギャラリー】車両火災のデータから判明したある事実とは?
■“対岸の火事”では済まされない車両火災
2021年5月、「箱根でフェラーリ F40が全焼した」というニュースをご覧になった方も多いと思う。60代の夫婦が箱根ターンパイクの上りをF40でドライブ中、車体の左後方から煙が出ていることに気付いて脱出。
その後、通報によりポンプ車数台が駆けつけたものの、撮影スポットとしても有名な「御所ノ入り駐車場」の先でF40は全焼してしまった。2人に怪我はなかったが、この火災により、箱根ターンパイクは3時間にわたって通行止めとなった。
フェラーリF40といえば、1987年にエンツォ・フェラーリ自らの手により発表され、わずか1311台のみが世に送り出された、世界の宝である。現在の時価は2億円を超えるといわれる同車のうちの1台が、この世から燃えてなくなってしまった。原因は明らかにされていないが、なんらかの理由でガソリンが漏れ、それが排気系にかかって炎上した可能性がある。
このニュースは、筆者にとっても対岸の火事ではなかった。現在の愛車であるフェラーリ 458イタリアは、新車発表から1年経たない2010年に、炎上の可能性があるとして、当時出荷済みだった1248台がすべてリコールとなった。
後輪のホイールアーチに使われていた可燃性(!)の接着剤が、エンジンの熱によって発煙・炎上。その結果、断熱材が溶けてホイールアーチ部が発火すると発表されたのだ。その後、問題の部分はリベット接合に変更されたのだが、この1248台のうちの1台が、2021年4月から筆者の手元にやってきた。
他人事ではない車両火災。最近のクルマは燃えなくなったといわれているが、まずはフェラーリに限らず、車両火災全般がどういった原因でどれぐらいの頻度で起きているのか調べてみた。
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